技術面の知識はないが、アイデアを語る。かつて起業家の間で軽んじられてきた「アイデアマン」だが、AI時代においては重視される--。OpenAIのCEO、Sam Altman(サム・アルトマン)氏がそのような見解を示している。
AI時代は「アイデアマン」が有利に、アルトマン氏が起業環境の変化を語る
ノースキャロライナ州チャペルビルで開催された「G20 Innovation Ministerial」(G20イノベーション大臣会合)に出席中のアルトマン氏は自身の見解を語った。それによると、かつては技術者を持たない起業家志望者がアイデアだけを語っても相手にされなかったが、「現在、これまでにないスピードでアイデアを形にしていく世代を目にしている」と述べた。
同氏は、創業チームに求められる資質そのものが変わりつつあるとも指摘する。「長年、創業チームにとって最も重要な要素は技術力だった。それは今も重要だが、コードが全く書けなくてもユーザーのことを深く理解している人になら、自分なら今は出資したいと思っている。これは大きな転換」だと話す。
アルトマン氏は新モデル「GPT-6 Astra」についても言及し「これがあれば、誰でも各分野に天才級の社員を抱えているかのように、小さなビジネスを立ち上げて運用できる」との見立てを示す。
実際の例として、GPT-5.6を使ってソフトウェアを開発し、50社から月額500ドルを受け取れるまでになったという人物のエピソードを紹介した。かつてならエンジニアを雇うのに数百万ドルはかかっていたはずの開発が、ニッチな需要にも十分見合う形で実現できるようになったという。同氏は「ちょっとしたアイデアが、ちゃんとお金になる時代になった」と述べている。
また、Astraを使い、OpenAI社員くらいにしかウケないようなニッチなゲームを作った例を挙げつつ、同氏は「以前なら採算が合わなかったはずの規模でも、いまは経済的価値が生まれている」と続けた。
AIへの逆風が強まる米国、アルトマン氏は「機会」を強調
アルトマン氏のこうした発言の背景として、米国の世論調査で多くの人がAIのリスクは利益を上回ると考えており、データセンターへの反発が中間選挙の争点の1つになっている点を指摘している。
逆風が強まる中、同氏は「AIは機会をもたらす」というメッセージを発信しようとしている、と分析している。
一方で、AIの恩恵を十分に受けられるのはアイデアを持ち、それを実行に移す力もある一部の人に限られるという見方も紹介しており、恩恵が誰にでも等しく及ぶわけではない点も指摘している。
米国では新規事業の設立が新型コロナ禍以降増加を続けており、2026年上半期の新規事業件数は300万件を超え、Census Bureauの統計で同期間としては過去最多を記録したと紹介している。Axiosが9月7日付で報じている。