この半導体ニュースのまとめ

・ADEKAが千葉工場の先端フォトレジスト向け光酸発生剤の生産能力を約2倍に増強
・約10億円を投じて製造ラインを増設し、2028年9月に営業運転を開始する予定
・EUVや高NA EUV向けPAGモノマーの開発・評価と将来の量産対応を加速

ADEKAは8月20日、EUVをはじめとする半導体デバイス製造における先端リソグラフィ工程で用いられるフォトレジスト向け光酸発生剤の生産設備を増強することを決定したと発表した。

千葉県袖ケ浦市にある千葉工場の既存建屋内に約10億円を投じて製造ラインを増設し、生産能力を従来比約2倍に引き上げる。着工は2027年1月としており、2028年2月の完工を経て、同年9月より営業運転を開始する予定としている。

  • ADEKA千葉工場の光酸発生剤プラント外観

    ADEKA千葉工場の光酸発生剤プラント外観 (提供:ADEKA)

EUV需要と環境対応でフォトレジスト材料の高度化が進展

半導体市場では、AIを中心とした需要拡大を背景に世界各地で設備投資が活発化している。半導体のプロセス微細化に不可欠なフォトレジスト市場も拡大しているほか、露光技術の進化やPFASフリーといった環境対応により、材料に求められる性能や品質も高度化している。

ADEKAは、半導体材料事業の中でも、ArFやEUVなどの超微細加工が求められる先端リソグラフィ領域を重点分野に位置付け、化学増幅型レジスト(CAR)向け光酸発生剤(PAG)や金属酸化物レジスト(MOR)向け金属化合物の開発と供給体制の強化を進めてきた。

今回の設備投資は、旺盛な需要が続くEUVリソグラフィ向け光酸発生剤の供給能力を高めるとともに、1ppbレベルの厳格なメタル管理を維持しながら、生産体制を最適化することを目的とするものだという。

PAGモノマーで酸の拡散を制御

CARに用いられる光酸発生剤は、露光によって発生した酸が化学反応を促すことで、半導体ウェハ上に微細な回路パターンを形成する材料。半導体の高性能化や微細化に伴い、ArFやEUV露光に対する高い感度と、高精度・高解像度のパターン形成性能が求められている。

ADEKAでは、従来のポリマーブレンド型光酸発生剤に加え、光酸発生剤を高分子主鎖に固定することで酸の拡散を従来型と比べてコントロールしやすくすることで、より微細で高精度な回路形成を可能とするポリマーバウンド型のPAGモノマーの開発と拡販も進めており、先端EUVでの量産適用を目指しているとする。

  • 従来型とPAGモノマー型の特徴比較

    従来型とPAGモノマー型の特徴比較 (提供:ADEKA)

また、化学増幅型レジスト向け光酸発生剤と並行して、高NA EUVでの活用が期待されるMOR向け金属化合物の開発と供給体制の強化も進めている。フォトレジストのEUV吸収率やエッチング耐性を向上させるキーマテリアルとして期待されており、同社では、これまでのALD材料で培ってきた金属錯体技術を応用する形で次世代MOR向け金属化合物の開発を進めており、2028年4月より茨城県神栖市の鹿島化学品工場において、MOR向け金属化合物専用プラントの営業運転を開始する予定としている。

供給体制の強化を2年前倒し

ADEKAは2026年7月、埼玉県久喜市の半導体イノベーションセンターを本格始動させ、EUVや高NA EUVなどの先端世代で需要拡大が見込まれるPAGモノマーの開発と評価を加速させており、今回の千葉工場への追加投資を実行することで、PAGモノマーを含む将来の需要拡大を見据えた供給体制の強化を、従来計画から2年前倒しで実行することとなる。

千葉工場における光酸発生剤の能力増強と、鹿島化学品工場におけるMOR向け金属化合物専用プラントの立ち上げにより、ADEKAは化学増幅型レジストと金属酸化物レジストの両方に対応する材料供給体制を整えることとなり、これらを両輪として、EUVならびに高NA EUVを中心とする先端リソグラフィ材料の開発と供給を強化を図っていくことで、半導体材料事業のさらなる拡大を目指すとしている。