ADEKAは5月25日、千葉工場に約27億円を投資して建設中であったEUVフォトレジスト向け光酸発生剤(Photo Acid Generator)の新たな生産棟が完成し、竣工式を執り行ったことを発表した。

この生産棟は延べ床面積1698平方メートルで、2023年8月より稼働予定。同設備の稼働により、同社のEUVフォトレジスト向け光酸発生剤の生産能力は従来比で2倍以上に高められることとなるという。

先端半導体プロセスでは、EUVやDUVでの露光の際に回路パターンの解像度を高めることを目的に光酸発生剤を含んだ科学増幅型レジストが広く用いられている。露光の際に光で酸を発生させ、続く熱処理時にその酸が触媒となりレジストの主成分である高分子樹脂の反応が促進され、解像度が向上する仕組みである。

ADEKAは半導体材料の提供を長年にわたって行ってきた。中でもロジック半導体向けでは、先端リソグラフィ工程で使用されるフォトレジスト向け光酸発生剤「アデカアークルズ」シリーズが、同社の強みである光制御技術とメタル管理技術で世界トップクラスの性能を有していることもあり販売が伸長しているという。

今回の新生産棟建設計画は、ロジックデバイスのプロセス微細化の進行によるEUV向けフォトレジストの需要増加を見据え、2021年8月に設備投資を決定されたもの。新生産棟の稼働を機に、同社では新たなプロセス技術の投入を行うとしているほか、最先端設備の導入による品質管理能力の向上を図り、1ppb未満の低メタル管理を実現するとしている。また、次世代向け新製品の生産も想定した生産設備も導入したとしている。

同社は、新棟稼働を機会に、新たなプロセス技術を投入するほか、最先端設備の導入で品質管理能力を高め、1ppb未満の低メタル管理を実現するとしている。さらに、次世代向け新製品を想定した生産設備も導入したという。

なお、ADEKAグループでは、主力製品である半導体メモリ向け材料の拡大はもとより、ロジック半導体向けでの事業拡大も併せて進めていくことで、世界トップクラスの半導体材料メーカーへと成長することを目指すとしている。

  • ADEKA千葉工場内に建設された光酸発生剤生産棟

    ADEKA千葉工場内に建設された光酸発生剤生産棟 (出所:ADEKA)