NECは8月18日、防衛装備庁 防衛イノベーション科学技術研究所が実施する「革新型ブレークスルー研究」において、デュアルユースを視野に入れた「自己教師あり学習による水中音響基盤モデルに関わる研究委託」を受注し、研究を開始したと発表した。

膨大な水中音響データを学習する汎用的な基盤モデルを開発し、2027年度までの構築を目指す。

  • 開発する水中音響基盤モデルの概要

    開発する水中音響基盤モデルの概要

研究の概要

同研究では、大規模言語モデル(LLM)のような汎用的な生成AIを水中音響の領域で実現することを目指す。基盤モデルの活用により、海中の事象をより的確かつ迅速に把握し、海のデジタルツインを構築できるようにするという。防衛用途に加え、海洋生物や資源の探査、環境モニタリング、高精度な地震予測などへの活用可能性が期待されるとしている。

海は地球表面の70%以上を占める一方、多くの謎が残されている。海中では光や電波がほとんど届かないため、音波を用いた観測や認識が有効とされる。ソーナーやハイドロホンで取得した水中音響データは、熟練した専門家が信号処理技術や知見を用いて解析しているが、膨大なデータの解析には長い時間と集中力を要し、精度にも限界があるという。

また、水中音響に関する汎用的な基盤モデルはほとんど実現されておらず、従来は特定の用途や業務に特化したAIモデルの開発にとどまっている。従来のAIモデルは大量の「正解データ」が必要となるが、水中音響の領域ではその収集が難しいことも、大規模なモデル構築の課題となっていた。

今後の展望

NECは、90年以上にわたるソーナー技術の開発実績に加え、AIコア技術「cotomi」で培った大規模学習技術のノウハウと、正解データのない大量のデータを利用できる自己教師あり学習を活用し、汎用的な水中音響基盤モデルを開発する。学習に用いる大規模な水中音響データは官民連携により収集するという。

今後は防衛イノベーション科学技術研究所と開発を進め、基盤モデルの有効性を実証する。あわせて、海中の高精度な可視化と理解促進に向けた研究開発を推進し、基盤モデルの社会実装を通じて、防衛力強化と海洋産業の発展の両面に貢献し、デュアルユースを加速していくとしている。