- 大手ECではAIが従来の検索・レコメンドを超えて購買行動そのものを支援する動きが広がっている。
- Yahoo!ショッピングでは今後、配送予測やコーディネート、個人向けトップページ生成などへAIエージェントの活用範囲を広げる。
- AIの活用対象は出店者にも広がり、Yahoo! EC Pilotを通じてストアの課題分析や販促施策の提案をAIが行う未来を目指す。
大手ECサイトでユーザーの買い物を支援するAI機能が広がっている。楽天グループが運営するECサイト「楽天市場」では、“人間味のあるAIアバター”が店舗の商品の相談や比較、購入を支援する「AI店長」の開発が8月5日に発表された。
また7月末には、日本HPの法人向けAI PCに、楽天独自の日本語LLM「Rakuten AI 7B」を活用した「Rakuten AI for Desktop」がプリバンドルされ、買い物や旅行予約など楽天の各種サービスをAIから利用できる環境を提供している。
また米Amazonは5月、従来のショッピングAI「Rufus」の機能と生成AIアシスタント「Alexa+」を組み合わせた「Alexa for Shopping」を米国で提供開始した。会話を通じた商品比較やパーソナライズされた商品提案に加え、価格履歴の確認やセール情報の検索なども行える。
そんな中、LINEヤフーは8月18日、ECサイト「Yahoo!ショッピング」におけるAIエージェントの利用状況などをメディア向けに説明した。
AIエージェントを活用した新機能として、ユーザー向けには配送予測AI「AIお届け予報」や、気になる商品をまとめた個人の“売り場”を作れる「ヤフショメイク」などを、ストア向けには運営の課題発見やアクションを能動的に提案する「コンサルティングレポート」、LINEを使ったプロモーション結果を分析する「LINE配信分析」などを今後提供するという。
AIが「探す」から「揃える」へ、変わるECの買い物体験
LINEヤフー コマースドメイン ショッピング SBU プロダクト開発1ユニット ユニットリードの市丸数明氏は、Yahoo!ショッピングは今後「買い物体験のAI化」を目指すと強調。「サイトに来てから欲しいものを一生懸命探して買う」という“疲れる体験”から、「サイトに来た時点で欲しいものが全部揃っている。あとは買うだけ」というストレスフリーな買い物体験への移行を、AIエージェントで支えるという。
Yahoo!ショッピング向けのAIエージェント機能はLINEヤフーのAgent iを活用し、ユーザーの意図を理解した買い物支援を図る。人気の機能は「AIお買い物メモ」や、おトクな購入日を提案する機能など。
前者は買いたいものをメモに記載することでAgent iが自動で内容を解析し、ユーザーに最適な商品をYahoo!ショッピングの中からピックアップするもの。後者はポイントがより多く付与されるおトクな購入日を提案する機能だ。2026年7月にはAIエージェントを利用して注文された金額が、Yahoo!ショッピング全体の約2割に上っており、市丸氏は「ユーザーの購買行動が明らかに変わってきている」と話す。
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「AIお買い物メモ」のデモンストレーション。例えば子供が通う学校から、水遊び用サンダルを用意してほしいと通知されたが、「足先がしっかり覆われ指が出ないもの」や「足首やかかとにマジックテープやバンドがあるもの」など、いくつか条件がある。ユーザー自身の検索によって該当する商品を見つけ出すのは難しい
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「AIお買い物メモ」に記録したスクリーンショットから、AIが必要な条件を設定して、Yahoo!ショッピングのストアから該当する商品をピックアップできる。結果を見ると、「サンダル」というより「マリンシューズ」が必要であることがわかった
今後の新機能は、過去の配送実績データに基づきAIがより精度の高いお届け日時を予測・要約して提示する「AIお届け予報」、手持ちの服や気になる商品からコーディネート画像を生成し、服のサイズデータも踏まえユーザーに合ったサイズでの着用イメージを提案する「AIおまかせコーディネート」、気になる商品を中心に自分だけのトップページを作れる「ヤフショメイク(仮)」などを予定。
「ヤフショメイク(仮)」はお気に入り情報や購入履歴などを元に、自分だけのデザインや品ぞろえ、情報を厳選し“自分だけのYahoo!ショッピング(トップページ)を作る”とうたうユニークな機能で、2026年秋頃の提供を想定。AIによる高精度なレコメンデーションに加え、ユーザーとの双方向のやり取りを通じて、欲しいものを探し回るのではなく「欲しいものがもう揃っている」買い物体験を目指す。
店舗運営もAIが分析から次の一手まで提案
ストア出店者向けには、2026年3月からAI運営支援サービス「Yahoo! EC Pilot」を正式提供している。2026年7月にはストアの約48%が利用するまでになり、またYahoo! EC Pilot利用ストアと非利用ストアの取扱高の前年比を比べると、利用ストアは非利用ストアよりも15ポイント高い成長を遂げたという。
Yahoo!ショッピングのAI運営支援は提案型ソリューションに強みがあるといい、今後AIがストアの課題を提示し次に取るべきアクションを能動的に提案する「コンサルティングレポート」や、LINEヤフーのグループサービス間連携の第1弾としてLINE公式アカウントと連携し、LINEを使った販促施策の結果分析・次のアクションにつなげる「LINE配信分析」といった機能を提供する予定だ。
LINEヤフー コマースドメイン ショッピング SBU プロダクト開発2ユニット ユニットリードの河内俊介氏は、AIを活用したストア運営について「データを見える化するだけでなく、AIが分析しどういう改善を提案するかを提供することが非常に重要になっていく」とコメント。
Yahoo!ショッピングでは2026年9月から、出店者に月額1万円(税別)のシステム利用料や、売上ロイヤリティ2.5%などが必要となるが、Yahoo! EC PilotはYahoo!ショッピングの出店者であれば無料で利用できる。







