石狩市は7月28日、市内のデータセンター(以下、DC)事業者や電力・通信インフラ事業者と連携する「石狩データセンターコンソーシアム」(以下、石狩DCC)を設立すると発表した。コンソーシアムを通じて再生可能エネルギーや通信インフラなど地域の強みを生かし、AI需要の拡大を見据えた国内有数のデータセンター集積地を目指す。
なぜ石狩にデータセンターが集まるのか
石狩湾新港地域は、再生可能エネルギーが豊富で災害リスクが低く、札幌市に近接する立地から、国内でもデータセンターの集積が進む地域として注目されている。
石狩DCCでは、地域のDCを「地域の計算資源」かつ「社会インフラ」と位置づけ、DCが地域と一体となって地域経済を盛り上げ、相互の持続的な成長を目指すという。
コンソーシアムにはさくらインターネット、京セラコミュニケーションシステム、石狩再エネデータセンター第1号、Flower Communications、ブロードバンドタワー、東急不動産、NTT ME、石狩地域エネルギー、リエネ、NTT東日本、北海道総合通信網が参加を予定している。
7月28日には、石狩市 市長 加藤龍幸氏をはじめ、顧問を務める東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授 江﨑浩氏のほか、参加予定企業の代表が石狩市役所に集まり、記者会見を開催した。
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記者会見の参加者。左からNTT東日本 執行役員 北海道事業部長 茂谷浩子氏、NTT ME 取締役副社長 石田信吾氏、Flower Communications 代表取締役 柳川直隆氏、さくらインターネット 執行役員 前田章博氏、石狩市 市長 加藤龍幸氏、京セラコミュニケーションシステム デジタルソリューション事業部 副事業部長 尾形哲氏、東急不動産 取締役執行役員 産業共創事業ユニット長 山縣晴夫氏、北海道総合通信網 企画部 部長 馬場聡氏
加藤市長は、石狩湾新港地域は再生可能エネルギーが集積し、災害リスクが低く、札幌市に近接していることなどからデータセンターの集積が進んできたと説明した。
今後はワット・ビット連携やオール光ネットワークによるデータセンター間接続など、集積効果を生かした高付加価値化を進めるほか、関東・関西に次ぐ国内のデータセンター集積拠点、さらには国内外から選ばれる産業集積地を目指す考えを示した。その上で、「同一エリアのデータセンター事業者が地域の発展に向けて一体となって検討を進めるのは、おそらく全国初の取り組みになる」と意義を強調した。
共同インフラや再エネ活用など3つの重点施策
石狩DCCでは、主に3つの事業を柱に活動を展開する。
1つ目は、共同インフラ基盤の強化・確立に向けた事業だ。電力や通信インフラ等、DCの運営に必要となるインフラ基盤を共同で強化・確立に向けた検討を推進。また、GX戦略地域や特区制度の活用、さらには補助金や規制緩和などについて、国や北海道へ提言する。
2つ目は石狩市内に立地するDCの価値向上に向けた事業だ。DC事業における課題の共有化や、共同インフラの利用や共同運用を通じて、競争力の高いDCサービスを確立するほか、地域再エネ電源の利用等により、石狩DCの価値向上に取り組む。具体的には、施設の管理運営における共同発注やデータセンター事業者を光ファイバーなどで接続して、コンピューティングリソースのシェアリング等のほか、再生可能エネルギーを活用する仕組みも検討する。
3つ目は石狩市との連携に向けた事業だ。DC事業者が連携し、大規模災害時における迅速かつ実効性のある防災体制を構築する。また、DC事業等に必要となる技術者の育成やDC間での人材交流、雇用の創出を推進するほか、DC事業における市民や地元企業への理解を醸成し、地域経済の基盤確立に寄与する。
今後は、インフラの共同整備、APNでの総合接続、DCの計算資源の共同融通、人材育成など、コンソーシアム内にいくつかの分科会を2026年度内につくり、検討を行っていくという。
石狩市 企画政策部 企業連携推進課 課長 加藤純氏は「集積しているからこその効果というのを最大化していくことによって、社会価値をしっかりと作っていき、全国へ発信できるようなモデルを、今後、コンソーシアムで実現してもらいたいと考えています」と述べた。
AIデータセンター集積地への期待が高まる石狩
オンラインで参加した東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授 江﨑浩氏は、石狩を政府が戦略候補地として位置付けてきた重要な拠点と説明した。
その上で、「石狩だけでなく北海道全体として、日本、さらには世界に貢献する拠点へ発展させていく必要があります。自治体や地域社会、産業界と連携しながら、データセンターがデジタルインフラを支え、日本や世界の発展に貢献することを期待しています」と述べた。
NTT ME「石狩はAIデータセンター集積地になり得る」
囲み取材では、石狩が再生可能エネルギーを生かしたAIデータセンターの集積地となる可能性についても質問が寄せられた。
これに対し、コンソーシアムに参加予定企業のNTT MEの取締役副社長 石田信吾氏は「風力も充実していますし、われわれは1区画で2MWという高性能GPUを前提としたコンテナ型データセンターを提供するので、エネルギーには期待しています」と回答し、石狩がAIデータセンターの集積地となる可能性に前向きな見方を示した。
また、石狩DCCについて、同氏は「こうしたコンソーシアムは、おそらく日本で初めてではないでしょうか。事業者同士がノウハウやリソースを共有することで、通信やエネルギーの基盤強化につながると期待しています。データセンター間では大容量・低遅延の高品質なネットワークが求められるため、IOWNのコンセプトとも非常に親和性が高いと思っています」との考えを示した。







