2025年10月22日、NTT-MEはコンテナ型データセンター事業(ブランド名「JPDC AI Container」)に参入することを表明。最初のケースとして、北海道石狩市に約5万㎡の土地を取得し、2027年に稼働開始することを発表した。5月18日には、石狩市長の加藤龍幸氏も参加し、石狩市の現地で着工に向けた地鎮祭が行われた。

  • NTT東日本 代表取締役副社長およびNTT-ME 代表取締役社長 池田敬氏(右)からデータセンターの説明を聞く石狩市長 加藤龍幸氏(左)

    NTT東日本 代表取締役副社長およびNTT-ME 代表取締役社長 池田敬氏(右)からデータセンターの説明を聞く石狩市長 加藤龍幸氏(左)

石狩市で地鎮祭、約45人が参加

地鎮祭には、NTT-MEやNTT東日本の関係者、工事を行うミライト・ワンの関係者、石狩市の職員など約45名が参加。工事の無事を祈願した。

  • 地鎮祭の様子(出典:NTT-ME)

    地鎮祭の様子(出典:NTT-ME)

  • 鍬入れをするNTT東日本 代表取締役副社長およびNTT-ME 代表取締役社長 池田敬氏(出典:NTT-ME)

    鍬入れをするNTT東日本 代表取締役副社長およびNTT-ME 代表取締役社長 池田敬氏(出典:NTT-ME)

石狩市を選定した理由、「データセンター集積地として期待」

石狩市は、さまざまな国内の有力事業者がデータセンターを建設する集積地となっており、千歳・石狩・苫小牧の北海道道央エリアを、半導体やデータセンターなどの先端技術産業が集まる拠点にすることを目的とした国家規模の地域開発構想である「北海道バレー構想」の中で、産官学が一体となってデータセンターの誘致を進めている。

また、電力インフラと情報通信インフラを統合し、脱炭素社会の実現とデジタル化を同時に進めるワット・ビット連携の検討においても将来的にデータセンターを都心から分散する際の地方の中核拠点として期待されている。

石狩市を最初のデータセンター提供地域に選んだ理由について、NTT東日本 代表取締役副社長およびNTT-ME 代表取締役社長 池田敬氏は、AI向けデータセンター需要の拡大や、首都圏における土地・電力不足を背景に挙げた。また、IOWNを活用したネットワーク技術により、遠隔地でも大規模データセンターを展開できるようになったことから、北海道が有力な候補地になったと説明した。

同氏は、「これからAIによる推論の世界に入っていくと、クラウドではなく、自分たちでデータを抱えた上で推論していく需要が確実に出てくるだろうと思っています」と述べた。

さらに、石狩市については、既に複数のデータセンター事業者が集積している点を評価したという。

「石狩市には、さくらインターネット様や東急不動産様、京セラコミュニケーションズ様などもいらっしゃり、データセンターが集結しています。そこに私たちがコンテナ型データセンターを置いて、ネットワークをつなぐ形で提供することで、ライバルではなく、全体が1つの大きなデータセンターとしてやっていける土地であると思っています」

また、安定した電力供給も選定理由の1つとした。

「北海道電力様から電力をしっかり供給していただける土地であることもあり、最初のコンテナ型データセンターをオープンする形を考えました」

  • NTT東日本 代表取締役副社長およびNTT-ME 代表取締役社長 池田敬氏。横のパネルはデータセンターの完成イメージ

    NTT東日本 代表取締役副社長およびNTT-ME 代表取締役社長 池田敬氏。横のパネルはデータセンターの完成イメージ

14区画を整備、2027年2月に前倒し稼働へ

NTT-MEは、石狩市のデータセンターを「JPDC AI Container Village@石狩」という名称で展開する。約5万㎡の土地には、1区画40m×60mの敷地に、2台のコンテナ型データセンターのほか、UPSや発電機などが設置され、全部で14区画が提供される。当初、最初の区画の完成は2027年4月を予定していたが、引き合いも多く関心も高いことから、2カ月前倒しし、2027年2月の稼働を目指している。14区画すべての稼働は、早ければ2032年に実現できる見込みだという。

  • 「JPDC AI Container Village@石狩」建設予定地

    「JPDC AI Container Village@石狩」建設予定地

また、太陽光等の自然エネルギーも積極的に取り入れるほか、本事業を通じ、NTT 東日本グループがめざす地方創生や北海道バレー構想の実現にも貢献していく考えだという。

  • 「JPDC AI Container Village@石狩」の1区画のイメージ(出典:NTT-ME)

    「JPDC AI Container Village@石狩」の1区画のイメージ(出典:NTT-ME)

「1年程度で提供可能」 コンテナ型データセンターのメリット

コンテナ型データセンターのメリットについて池田氏は、短期間で構築できる点を挙げた。従来型データセンターでは建設に数年を要する一方、コンテナ型であれば需要変化に合わせて迅速に提供できると説明した。

同氏は、「従来型のデータセンターを作ろうとすると4~5年かかってしまいます。お客様からすると完成した際には、すでに旬が過ぎているということにもなり得ます」と述べた。

その上で、「コンテナ型データセンターの場合、1年ほどでいろいろなサーバを組み合わせてお客様に提供できることは、お客様にとっても、私たちにとっても非常にメリットがあると思っています」と語った。

また、電力不足への対応という観点でも、コンテナ型データセンターには利点があるとした。

「現在は電力が足りていない状況ですが、コンテナ型データセンターであれば、電力供給ができるところに柔軟にデータセンターを建て、IOWNのオールフォトニクスネットワークでつないで1つのデータセンターのように運用することができます。いわゆるワット・ビット連携という形で、電力の問題を乗り越えることができる点もポイントだと思っています」

  • 「JPDC AI Container Village@石狩」の完成イメージ(出典:NTT-ME)

    「JPDC AI Container Village@石狩」の完成イメージ(出典:NTT-ME)

地域貢献や他地域展開にも言及

また池田氏は、データセンター整備によって地域産業の集積が進み、地域貢献につながるとの考えを示した。再生可能エネルギー事業との連携も視野に入れ、新たなビジネス創出につなげたいとしている。

同氏は、「データセンターがあることによって、いろいろな産業が集まってくる可能性も高まってくると思っています。そういう意味で、地域貢献ができると思っています」と述べた。

さらに、「グループ会社であるグリーンパワーインベストメントの洋上風力を組み合わせながら、いろいろな新しいビジネスをみなさんと一緒になって作っていきたいと考えています」と語った。

その上で、「データセンターは1つのきっかけでしかなく、いかに地域のお客様に対して貢献できるようなプラスアルファの事業を展開できるかがこれからの勝負だと思っています」と述べた。

また同氏は、石狩市以外での展開について、顧客ニーズに応じて全国で事業を展開していく考えを示した。

「われわれのコンテナ型データセンターは、自分たちで作って、自分たちでオペレーションする事業モデルが1つの方向です。一方で、NTT-MEはエンジニアリング企業でもあるため、お客様から『ここにデータセンターを建てたい』という要望があれば、土地探しから設計・構築、保守・運用まで対応する形も考えています」

その上で、「資産はお客様に持っていただき、私たちが運用を担うパターンも含め、お客様次第でどこでもやりますというのが答えになります」と語った。