この半導体ニュースのまとめ
・ソニーセミコンダクタソリューションズグループが熊本開催のネイチャーポジティブ関連イベントに協賛・出展
・半導体製造に不可欠な水資源をテーマに、熊本テクノロジーセンターで20年以上続ける地下水涵養を紹介
・小学生向けワークショップや電子ブックを通じ、半導体製造と自然資源保全の関係を次世代に発信
熊本で半導体製造と水資源保全の関係を発信
ソニーセミコンダクタソリューションズグループは、2026年7月14日、15日の2日間、熊本県熊本市の熊本城ホールで開催された「第2回グローバル・ネイチャーポジティブ・サミット2026」に協賛。さらに、同時開催の展示会「NATURE TECH!」にも出展し、同社ブースでの技術展示やパネル展示、同会場で開催した小学生向けのワークショップなどを通じて、半導体製造と水資源の関係を紹介するなど、環境や地域貢献への取り組みを訴求した。
会場には、ネイチャーポジティブに取り組む国内外企業や金融機関、NGO、自治体、教育研究機関、地域住民や学生など約2700人が参加したという。
熊本に根差すソニーの半導体生産拠点
ソニーセミコンダクタソリューションズの100%子会社であるソニーセミコンダクタマニュファクチャリングは、2001年1月から熊本での半導体生産を開始(当時はソニーセミコンダクタ九州 熊本テクノロジーセンター)。2013年には、同社の前身となるソニーセミコンダクタの本社を、熊本県菊陽町に移転しており、熊本県とは緊密な関係がある。現在も、イメージセンサーの基幹工場である熊本テクノロジーセンターが稼働しているほか、ソニーセミコンダクタソリューションズが少数株主として参加するJASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing)では、熊本県内で第1工場が稼働しているところだ。
20年以上続く地下水涵養、2025年度は約305万m3
半導体製造には、高純度の水が不可欠で、多くの水を使用するが、ソニーセミコンダクタソリューションズグループでは、製造工程での水使用量の削減や再利用を推進。さらに、熊本テクノロジーセンターでは、2003年から、水が浸透しやすい白川中流域の地質の特性を生かして、川から田畑に水を引き、農地に水を張り、地下に水を還す「地下水涵養」に取り組んでいる。湛水による地下水涵養は、日本企業として初めての取り組みだったという。
同社によると、2025年度の地下水涵養量は約305万m3で、東京ドーム約2.5杯分に相当。2003年以降、深刻な渇水年を除くと、熊本の製造事業所における地下水採取量を上回る涵養を実現している。
半導体にとって水は品質と安定生産を支える経営基盤
ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング 環境サステナビリティ推進室の山下満室長は、「水は、半導体製造の品質と安定生産を支える重要な経営基盤であり、同時に、熊本の地下水は、地域の生活や農業、産業を支える共有資源でもある。工場内での水使用量の削減や再利用だけでなく、地域の水循環そのものを維持していく視点が重要であり、地下水涵養は、農家、土地改良区、行政、JA、NPOなど、地域との長年の協働によって支えられてきた。今回の国際サミットを通じて、半導体製造と自然環境の関わりを、次世代を担う子どもたちをはじめ、より多くの方に知ってもらい、地域全体で水資源を守る取り組みにつなげていきたい」と述べた。
地域社会と向き合う姿勢も問われる半導体製造
また、「第2回グローバル・ネイチャーポジティブ・サミット2026」の分科会に参加したソニーセミコンダクタソリューションズ 経営戦略部門の中村禎克副部門長は、「半導体は、数100におよぶ製造工程があり、それにより、微細な回路を作るが、各工程において、ウェハの表面を常にきれいに保つことが重要であり、その洗浄に非常に多くの水を使用している。半導体にとって、水は、品質や安定した生産を支える欠かすことができない経営基盤である」と前置きし、「九州では半導体産業の集積が進んでおり、水資源の利用に対する関心や、環境変化への不安が高まっている。地域社会から問われているのは、どれだけの水を使うのかという量の問題だけではない。共有資源である地下水に企業としてどう向き合うのかといった姿勢が問われている」と述べた。
水の循環利用と地下水涵養を両輪で推進
中村副部門長は、熊本テクノロジーセンターにおいて、工場内での水の使用をできる限り効率化することと、地域の水循環を支える取り組みを行っていることに言及。燃焼除害用水については、循環利用量を増やすための設備改善を行い、従来必要としていた補給水量を約50%削減しているほか、再利用できなくなった水についても、法令や行政の基準を守りながら管理。また、長年に渡って取り組んできた地下水涵養については、「20年以上にわたり続けてきた水循環の実践と、地域との信頼関係は、熊本テクノロジーセンターの持続可能性を支える重要なアセットになっている」と発言。社員による協力田での田植えや、社員食堂での涵養米の活用を行っていることも紹介し、「今後は、農地の維持や担い手不足といった地域の課題にも目を向けながら、水循環の仕組みを、より持続可能な形へ進化させていく必要がある」と述べた。
その上で、「水資源に対する取り組みや環境負荷を軽減するための具体的な施策を行政や地域社会に対して、より客観的に、透明性高く説明し、対話を重ねていく必要がある。熊本で積み上げてきた協働モデルを、さらに深めながら、ネイチャーポジティブにつながる活動を着実に進めていく」と述べた。
「NATURE TECH!」で半導体と自然環境の関わりを展示
一方、「NATURE TECH!」への出展では、「半導体と水、未来へつなぐソニーのものづくり」をテーマに、半導体製造に不可欠な水資源の保全や、熊本地域で20年以上継続している地下水涵養の取り組みを紹介。さらに、国内外の企業や自治体、NGO、教育・研究機関、地域住民などに向けて、半導体のモノづくりと地域の自然環境との関わりについて発信した。
具体的には、ソニーのイメージセンサー技術では、実寸大のセンサーモックや、イメージセンサーが捉えた海中の3DCG映像をソニーの空間再現ディスプレイで立体的に表現。さらに、熊本の製造事業所における水使用量の削減、再利用、地下水涵養などの取り組みをパネルで紹介した。
また、小中学生を対象にした電子ブック「半導体づくり 環境への挑戦」を新たに制作。半導体製造における水や電気などの自然資源の重要性を、わかりやすく紹介した。
さらに、古紙100%の再生紙に、花やハーブの種を漉き込み、植えると発芽し、紙は土に還るという環境配慮型の紙である「シードペーパー」を使用した塗り絵つきのリーフレットを配布した。


シードペーパーを使用したリーフレットとGakkenと共同で制作した小学生向け学習まんが書籍「学研まんがでよくわかるシリーズ イメージセンサーのひみつ」。この学習まんが書籍はWebの学研まんがひみつ文庫でも読むことができる
小学生向けワークショップで水の重要性を体験学習
会期2日目の7月15日午後には、小学生向けワークショップとして 「セミコンマスターズ~水を守って、半導体をたくさん作ろう!~」を2回に渡って開催し、熊本市内の力合小学校および五福小学校の6年生110人が参加した。
ワークショップでは、オリジナルカードゲームを使用。半導体製造に必要な「超純水」「電気」「ウェハ」「エンジニア」のカードを揃えて半導体を作る内容とした。
「超純水」のカードがなければゲームを進められないというルールになっており、水が半導体製造に欠かせない資源であることや、水を守りながらモノづくりを進める重要性を、楽しみながら学ぶことができた。
参加した児童からは、「難しい説明もカードゲームで楽しく勉強できた。半導体にとって水が大切なのがよくわかった」、「カードが4枚揃って、いろいろな半導体ができたので楽しかった」といった声があがっていた。
また、ソニーセミコンダクタソリューションズグループの展示ブースには、会期中に熊本市内の小学生約500人が訪れたほか、サミット関係者や一般来場者も多く来場したという。
なお、「NATURE TECH!」には、企業や大学、研究機関など、94社が出展。次世代人材に向けた環境教育プログラムを実施し、熊本市教育委員会を通じて参加した市内9校の小学生が企業ブースの見学やワークショップに参加した。















