米マイクロン・テクノロジーは7月4日(日本時間)、日本の量産拠点である広島工場(東広島市)において、クリーンルームをはじめとする新たな生産施設の着工を発表。旺盛なAI需要に対応し、次世代DRAMを量産する。総投資額は1兆5,000億円で、経済産業省がその1/3を助成することにしている。

  • 米マイクロン・テクノロジーが広島工場(広島・東広島市)で新たなクリーンルームの着工を発表。7月4日に行われた鍬入れ式は、大雨のため会場を屋内に変更して行われ、米国式の“シャベル入れ”となった。左から2人目がマイクロン・テクノロジーのサンジェイ・メロートラ社長 兼 CEO、3人目が赤澤亮正経済産業大臣

    米マイクロン・テクノロジーが広島工場(広島・東広島市)で新たなクリーンルームの着工を発表。7月4日に行われた鍬入れ式は、大雨のため会場を屋内に変更して行われ、米国式の“シャベル入れ”となった。左から2人目がマイクロン・テクノロジーのサンジェイ・メロートラ社長 兼 CEO、3人目が赤澤亮正経済産業大臣

DRAM業界では、韓国の大手2社も大増産計画を打ち出したばかりでヒートアップ状態だ。こうした中、マイクロンの新たな生産施設の起工式に参加した赤澤亮正経済産業大臣は、「国内にAI向け半導体のサプライチェーンを完成させたい」と、半導体企業への支援を継続する意向を示した。

  • 新クリーンルームの外観写真。完成予想図であり、今後変更される可能性がある 画像提供:マイクロンテクノロジー

    新クリーンルームの外観写真。完成予想図であり、今後変更される可能性がある 画像提供:マイクロンテクノロジー

メロートラCEO「マイクロン初のHBM生産を行う広島は重要拠点」

マイクロンが新設する生産施設は段階的に建設され、第一期工事面積は約2万8,000平方メートルで、2028年後半にはEUV露光機などの設備搬入をはじめる。経産省はマイクロンに最大5,360億円の助成を行うが、これまでの設備投資と研究開発に関する2回の助成を合わせれば、約7,700億円にのぼる。

同日行われた起工式には、サンジェイ・メロートラマイクロン社長兼 CEOや赤澤亮正経済産業大臣のほか、岸田文雄元首相、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長ら約300人が参席した。メロートラ社長は、「日本初のEUVリソグラフィを使った量産、マイクロン初のHBM生産を行うなど、広島は重要拠点。研究と生産が同じところにあるのが大きな強みになっている」と、あいさつした。

  • マイクロンでは、雨天を想定したプランBとしてシャベルを用意していて、メロートラCEOはじめ15人がシャベルを握った。右から3人目が赤沢大臣、4人目がメロートラCEO

    マイクロンでは、雨天を想定したプランBとしてシャベルを用意していて、メロートラCEOはじめ15人がシャベルを握った。右から3人目が赤沢大臣、4人目がメロートラCEO

  • 新クリーンルームの外観写真。完成予想図であり、今後変更される可能性がある 画像提供:マイクロンテクノロジー

    新クリーンルームの外観写真。完成予想図であり、今後変更される可能性がある 画像提供:マイクロンテクノロジー

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マイクロンメモリジャパン野坂代表「広島からイノベーション生み出したい」

2013年に買収したエルピーダメモリのDRAM技術を活かしてサムスン電子、SKハイニックスとトップシェアを競うまで成長したマイクロン。今後の開発方針について、マイクロンの日本法人であり、日本唯一のDRAM量産工場を構えるマイクロンメモリジャパン(MMJ)の野坂耕太代表取締役は、「半導体材料の80%は日本製を使用している。広島からイノベーションを生み出していきたい」と話す。

MMJは業界で初めて、第6世代DRAMベースの1γ(ガンマ)品のサンプル出荷を行った。1α(アルファ)と1β(ベータ)DRAMの基盤上に、EUVリソグラフィと次世代高誘電率絶縁膜メタルゲート(HKMG)技術を活用して実現したもので、1β比で電力効率を20%、メモリ密度を30%以上向上している。AIやスマートフォン、自動車を含めて、クラウドからエッジデバイスまでの次期プラットフォームの強化につながるとする。

MMJでは、8個のHBM4(12層)をGPUと混載したAIパッケージの旺盛な需要への対応を急ぐが、実装するDRAM数は合計96個にもなる。これと同数のDRAMをGPUまわりに従来手法で配置するよりも、シリコン面積を大幅に削減できるのがAIパッケージの特徴だ。また、「CPUまわりにも何百個ものDRAMが使われ、データのやりとりをしているだけに、いかにメモリーの消費量が大きいかがわかる」という。

いまの1γ(ガンマ)DRAMは、HBMや半導体ストレージ(SSD)などに搭載されていく。着工した新クリーンルームではいちだんと高速化、大容量化、低消費電力化を図った次世代DRAMの量産に取り組む。現時点で稼働時期や量産規模、生産品目は明らかにしていない。

なお、日本政府が掲げる成長戦略において半導体産業は大きな柱だけに、経済産業省は海外半導体企業が日本に進出することを歓迎する。マイクロンのライバル企業であっても、「一般論として歓迎する」が、その企業から設備投資などに支援要請が合った場合は、「個別具体的に検討する」ことにしている。

  • 赤澤大臣とメロートラCEOとの意見交換写真 画像提供:経済産業省

    赤澤大臣とメロートラCEOとの意見交換写真 画像提供:経済産業省