この半導体ニュースのまとめ

・STMicroelectronicsが、アナログ乗算器不要のTM-PFCコントローラ「L6462A」を発表した
・電流生成・整形方式とゲートドライバ出力によるインダクタ消磁検出により、外付け部品を削減しつつ高効率化を実現する
・250Wデモボードではピーク効率97%超、全負荷時THD 5%未満を達成し、充電器、電源アダプタ、テレビ、照明ドライバ向けを狙う

アナログ乗算器を不要としたTM-PFCコントローラ

STMicroelectronicsは、コスト重視の高効率アプリケーション向けに、トランジションモード(TM:Transition Mode)対応の力率改善(PFC)コントローラ「L6462A」を発表した。対象は250W以下の電源で、民生機器や電源アダプタ、高性能バッテリ充電器、薄型テレビ、照明ドライバなどで求められるエコデザイン規制への対応と、部品点数の削減を両立させる狙いだ。

L6462Aの特徴は、従来のPFC制御で用いられてきた電圧センサとアナログ乗算器の代わりに、電流発生器と波形整形器を用いて弦波の基準波形を生成する点にある。これにより、昇圧型PFCコンバータにおいて外付けの電圧分圧部品を不要にでき、BOMの削減と基板設計の簡素化につなげることができるようになるという。

  • STのTM-PFCコントローラ「L6462A」のパッケージ外観

    STのTM-PFCコントローラ「L6462A」のパッケージ外観 (出所:STMicroelectronics)

インダクタ消磁検出も補助巻線なしで実現

同ICは、PFC変換サイクルの制御において、ゲートドライバの出力を介してインダクタの消磁状態を検出することで、PFCの変換サイクルを調整することから、従来必要になりがちだったインダクタの補助巻線やインタフェース部品を不要にできるとする。

同社では、この電流形成回路と消磁検出機能により、BOMの削減だけでなく、全高調波歪み(THD)の低減や効率向上も可能になるとしている。特に中負荷および軽負荷時の効率改善を狙った設計となっており、待機電力や部分負荷効率が重視される民生機器向け電源で有効性を発揮するとみられる。

軽負荷時はバレースキッピングで効率維持

また、同製品のアイドル電流は60μA未満で、機器のスタンバイ電力に関する厳しいエコデザイン要件への対応を支援する。高負荷時には、損失を抑えるために疑似共振モード、いわゆるバレースイッチングで動作するが、負荷が低下すると、バレースキッピングにより動作周波数を段階的に引き下げて効率を維持するほか、バーストモードのしきい値が低いため、LED照明アプリケーションにおける滑らかな調光にも対応するとしている。

90~264V入力に対応、400V出力を想定

TM-PFCコントローラとして、90~264Vの広いAC入力電圧範囲に対応し、通常は400Vの出力電圧を供給するように設計されている。強化されたエラーアンプと高精度電圧リファレンスにより、大きな負荷変動に対する動的応答を高め、出力電圧の過度なオーバーシュートやアンダーシュートを抑制することも可能だという。

また、外付けの昇圧コンバータ用MOSFETをトーテムポール出力によって直接駆動でき、出力電流は最大+600mA/-300mAに対応。低電圧ロックアウト時の安全性を高めるアクティブプルダウン機能も備えているほか、リモートでのオン/オフ制御を可能にするディスエーブル機能や、過電流、出力過電圧、フィードバック異常、インダクタの飽和/短絡に対する保護機能も内蔵している。

250W評価ボードでピーク効率97%超を達成

なお、同社では同製品を搭載した評価ボード「EVL6462A-250W-M」も提供。ユニバーサル規格の入力電圧範囲に対応する250W PFCプリレギュレータを搭載。コンパクトかつ低BOMコスト設計を実現するとともに、全負荷時のTHDを5%未満、負荷率を20%まで抑制した場合でもTHDを15%未満に抑えながら、97%を超えるピーク効率を達成するとしている。

すでに同製品は量産中で、パッケージはSOT23-6Lで提供され、1000個購入時の単価は約0.18ドルからとしている。