レノボ・ジャパンは、6月11日に開幕するサッカーの祭典「FIFA ワールドカップ 2026」(以下、北中米W杯)において、FIFAの公式テクノロジーパートナーとしてさまざまな面から大会運営をサポートする。

  • レノボはFIFAの公式テクノロジーパートナーに

    北中米W杯でレノボはFIFAの公式テクノロジーパートナーを務める(提供:レノボ・ジャパン)

カナダ・アメリカ・メキシコの北中米3か国にわたって開催される史上最大規模の大イベント開幕が近づく中、同社は5月28日に北中米W杯での取り組みに関する説明会を都内で開催。レノボとして大会運営を支えるテクノロジーの概要や選手・ファンの体験を向上させる技術、そしてマーケティング面での取り組みなどについても説明された。

“史上最大規模”の大会で初の公式テクノロジーパートナー

いよいよ開幕が迫る、北中米W杯。23回目となる今大会は3か国による共催の形で実施され、各国に位置する計16会場にて熱い試合が繰り広げられる。また本大会への参加国は48か国に拡大され、試合数は全104試合に増加。会場数・参加国数・試合数のいずれもW杯史上最多となっており、文字通り“史上最大規模”の大会となる。

そんな同大会で、FIFAの“公式テクノロジーパートナー”を務めるのが、レノボである。同社はこれまで、モータースポーツ最高峰の大会であるF1でもグローバルパートナーを務め、1ミリ秒の違いが勝敗を分けるレースを支援してきた。そして今般、その中で培われたスポーツテクノロジーをサッカーの最高峰に活用。公式テクノロジーパートナーの肩書きがワールドカップで採用されるのは初の事例だといい、最上位スポンサーとしてだけでなく大会初の立ち位置から、デバイスやサービス、技術などさまざまな側面から大会運営を支援する。

なお北中米W杯におけるレノボの具体的な取り組みや特徴的な施策については、レノボ・ジャパン 執行役員の佐藤久副社長から語られた。

  • レノボ・ジャパンの佐藤久副社長

    説明会に登壇したレノボ・ジャパン 執行役員の佐藤久副社長

大会を支える技術・サービス - 提供デバイスは約1万7000台に

今回レノボは、大会を支える14の製品・サービスを提供する。それらは主に、FIFA向けの“法人向けソリューション”、試合運営を円滑化する“イベントソリューション”、観客の体験を向上させる“ファンエクスペリエンス”、AIなどの最新技術を協議に活用する“サッカーテクノロジー”に分類されるという。

法人向けソリューションとしては、全世界のFIFA職員へのPC供与をはじめ、北中米W杯の運営に必要な約1万7000台ものデバイスを一元的に管理するデジタルワークプレイスソリューションを提供。過去の大会では、供与したデジタルデバイスのうち25%程度が紛失してしまうこともあったというが、今大会ではレノボがリアルタイムで管理することで、その精度を向上させるという。

  • 北中米W杯の運営に使用されるレノボのデジタルデバイス

    北中米W杯の運営に使用されるデジタルデバイスはレノボが一括提供する(提供:レノボ・ジャパン)

また大会終了後には、使用したデバイスを再利用につなげるプログラムとして、レノボ機器買取サービス(ARS)やレノボ認定再生品(LCR)プログラムも実施。こうしたサービスを通じて、FIFAは発展途上国のサッカー協会などにもデバイスを安価で提供し、さらなる競技の発展につなげていくとする。

マイアミの大会本部から16会場を一元管理

イベントソリューションのうち最も重要度が高いのは、米国・マイアミに設置される大会本部で全体の運営を司る「インテリジェントコマンドセンター」(ICC)だろう。ここでは、各会場にてオンサイトで取得されたデータなどを一度集約し、AIも活用しながら大会のオペレーションをリアルタイムでモニタリング。また各種デバイスなどの状況を管理する「テクノロジーコマンドセンター」も併せて設置し、不測の事態が起きた際にも、大会の全動向を把握しながら迅速かつ的確な対応を支援するという。

  • 米国・マイアミの大会本部にはICCが設置される

    米国・マイアミの大会本部では16会場の集中管理を行うICCが設置される(提供:レノボ・ジャパン)

さらにレノボからは、試合会場のVIP席に設置され観戦体験を向上させる「デジタルシートベルト」の提供や、大会全体の運営に関わる購買プロセスの管理、IPネットワークを介してコンテンツを提供するFIFAのIPTV(Internet Protocol Televison)の運用支援なども行われるとしている。

北中米W杯限定の各種デバイスも発売!

会場を訪れるファンや関係者にとって重要なのが、会場までのアクセスを効率化させるスマートウェイファインディング機能だ。スタジアム内外の経路について、ファン・メディア・アスリート・スタッフなどの役割に合わせて最適解を表示するとのこと。トイレや売店などの混雑状況も表示し、観戦体験をさらに高めるとする。

また今大会では、48か国の代表として登録された全選手1248人のアバターを作成。ピッチで激闘を繰り広げる選手のアバターや大会トロフィーなどをホログラムで表示する試みもあり、AIで動くアバターとの会話も楽しめるなど、さまざまなファン体験が創出されるという。

加えて北中米W杯では、FIFAスペシャルエディションのさまざまなデバイスも発売されるとのこと。ビジネス・ゲーミングPCやスマートフォン、タブレットなど各種製品がFIFA ワールドカップ公式デバイスとして発売される。

  • FIFAスペシャルエディションのスマートフォン

    FIFAスペシャルエディションとして発売されるスマートフォン(提供:レノボ・ジャパン)

  • 特別仕様のノートPC

    ノートPCではタッチパッド用ステッカーが付属するものも(提供:レノボ・ジャパン)

分析を高度化する「FIFA AI Pro」は全出場国に提供

そして、ピッチ上で繰り広げられる協議のさらなる向上に貢献するサッカーテクノロジーとして紹介されたのが、FIFAとレノボが共同開発したという「FIFA AI Pro」。FIFAが保有する数百万もの膨大なデータアセットを学習したAIツールは、今般北中米W杯に出場する48か国の代表チームすべてに提供されるといい、選手個別・チーム全体などあらゆる角度から、戦術やパフォーマンスの分析を出力できるとする。

  • 「FIFA AI Pro」のイメージ

    「FIFA AI Pro」のイメージ(提供:レノボ・ジャパン)

今大会では4カ国がワールドカップ初出場で、それ以外の代表チームについてもサッカー協会が保有するインフラの質には差があるのが現状。レノボとしては、そうした差を可能な限り低減することで、ピッチ外での地域格差を無くし、より高いレベルでの競争を実現していきたいとした。

また、先にも紹介した出場選手のアバターはファンエクスペリエンスに限らず競技においても活用される。アバターはすべて3Dで作成され、ピッチに立つ選手たちのリアルタイム状況はデジタルツイン上でも可視化されるとのこと。オフサイドや微妙な判定などが求められる審判のレビュー用としても活用しつつ、ファンの視覚的な状況理解促進にも貢献するという。

そして、今大会の中継映像でファンの心を動かすと予想されるのが、ピッチに立つ審判の目線を撮影した「レフリービュー」だ。2025年6月に開催された「FIFA クラブワールドカップ 2025」でも使用されたこの映像は、臨場感あふれる体験を世界中の観客に届けられるもの。レノボはこの映像における揺れ・ブレなどの補正技術を提供しているといい、迫力はありながらクリアな映像を届けるとしている。

檜山社長「今大会は“三笘の1mm”も瞬時に判断可能」

このようにレノボは、FIFA公式テクノロジーパートナーとしてさまざまな技術を活用しながら北中米W杯の運営にオンサイトで携わる。レノボ・ジャパンの檜山太郎代表取締役社長は、前回のカタールW杯で日本の歴史的勝利を決定づけた“三笘の1mm”を引き合いに出し、「前回のワールドカップで話題を集めた“三笘の1mm”では、審判による検証に非常に長い時間を要した。だが今大会では、各種技術の活用によって瞬時に判断が可能になる」と、レノボの技術に自信をのぞかせた。

  • レノボ・ジャパンの檜山太郎社長

    レノボ・ジャパンの檜山太郎代表取締役社長

マーケティング施策も多数展開 - 『キャプテン翼』ともコラボ

またレノボは北中米W杯の開催にあたり、さまざまなマーケティング戦略も展開するとのこと。特に日本国内でのキャンペーンについては「技術がゲームを変える。」をステートメントとし、史上最大規模のワールドカップを技術で支えるパートナーとして、「信頼・革新・共鳴」という3つのキーワードの下で新たな価値を創出していくとする。

テレビCMでは、日本を代表するサッカーコンテンツとして世界中で愛される『キャプテン翼』とコラボレーションした映像を放映中。CMソングにはGAN(岩田剛典)氏を起用し、幅広い世代へのリーチを目指すという。

  

【レノボ新CM】技術がゲームを変える。(30秒)│FIFA ワールドカップ 2026 公式テクノロジーパートナー(出所:レノボ・ジャパン 公式YouTubeチャンネル)

また同社は、渋谷の屋外大型ビジョンや駅サイネージを活用した体感型OOHも展開。ピッチ上の臨場感やスピードを直感的に感じられる企画が予定されている。加えて「日本代表 vs チュニジア代表」が行われる6月21日には、「FIFA ワールドカップ 2026 パブリックビューイング by レノボ」と題し、「未来を担う子どもたちと共に楽しめる次世代型パブリックビューイング」をテーマとしたイベントを渋谷ヒカリエにて開催する(イベントは事前応募制)。

説明会に登壇したレノボ・ジャパン マーケティング統括本部 統括本部長のルービン理恵CMO(チーフマーケティングオフィサー)は、同社として注力するAIを「単なる“知性”ではなく、人の可能性を開放する“拡張の力”」と説明し、「AIとテクノロジーの融合により、よりインクルーシブでサステナブルな将来を構築していく」というブランドビジョンを改めて強調する。

そして、「一瞬のプレーが世界中を熱狂させる力を持つサッカーにおいて、その舞台裏を支えるテクノロジーに光を当て、レノボがAIで切り拓く新しいサッカー体験を提供していきたい」と語った。