レノボ・ジャパンは6月2日、ThinkPad P1が登場した2018年以来となる、ワークステーション単独の発表会を開催。「ThinkPad P16s Gen 5 AMD」や「ThinkPad P1 Gen 9」といったワークステーション7製品を発表した。
AI時代を見据えたThinkPadワークステーションが登場
レノボ・ジャパン ワークステーション&クライアントAI事業部 事業部長の小林直樹氏は、コロナ禍以降の働き方の変化と、AIのエッジ/ローカル処理の本格化により、これまで活用されていた製造業や建築分野からアニメ・ゲーム・映像領域、AI処理に至るまでワークステーションに求められる用途が拡大。「高性能・長時間の安定動作・優れた熱設計」がかつてない重要性を持ってきたと市況を紹介した。
今回発表されたThinkPadモバイルワークステーション/デスクトップワークステーション新製品は、次の7製品。
モバイル版ではいずれも5G搭載が可能で、Intel Core Ultra シリーズ3やAMD Ryzen AI 400シリーズなどの最新世代SoCを採用する(デスクトップ版ではAMD Ryzen PRO 9000 シリーズを搭載)。
- ThinkPad P16s Gen 5 AMD:578,600円から。6月中旬以降発売
- ThinkPad P16s Gen 5:716,100円から。発売中
- ThinkPad P1 Gen 9:1,095,600円から。6月下旬以降発売
- ThinkPad P14s Gen 7 AMD:631,400円から。発売中
- ThinkPad P14s Gen 7:705,100円から。発売中
- ThinkPad T1g Gen 9:1,073,600円から。6月下旬以降発売
- ThinkStation P4:451,000円から。6月下旬以降発売
注目モデルの1つが、9世代目になった「ThinkPad P1 Gen 9」。
ThinkPad P1 Gen 9は、最小重量が約1.8kgという薄型軽量設計を採用した16型モバイルワークステーション。5G通信に対応し、高い可搬性と接続性、パワフルな性能を兼ね備えた。プロセッサは最大16コア構成のIntel Core Ultra 7/9/X7/X9シリーズ3を、グラフィックスはNVIDIA RTX PRO 1000/2000 Blackwellグラフィックスなどを選択できる。
メモリは最大96GBのLPCAMM2メモリ、ストレージは最大8TBに対応。また、SSDやメモリ、バッテリー、USB Type-Cポートなどの交換もサポートする。
このほか、デスクトップ型の「ThinkStation P4」はレノボ製ワークステーションとして初となる液冷(水冷式クーラー)に対応した製品だ。
CPUやGPUの熱を冷却液で効率的に循環・放熱する構造で、CPU温度を抑えながら、空冷式と比べ最大約4dBの静音化を実現している。プロセッサは最大170W TDPのAMD Ryzen PRO 9000シリーズを選択可能。AI開発、レンダリング、3D CAD、映像編集など高負荷用途に適している。
なお、発表された製品のなかで唯一「ThinkPad T1g Gen 9」のみワークステーションではなく、高性能モバイルPCという位置付けだ。これはT1g Gen 9で選択できるグラフィックスが主にゲーム用途で使われるNVIDIA GeForceシリーズであるためで、基本筐体はThinkPad P1 Gen 9と共通している。
LPCAMM2と5Gで進化した2026年のThinkPad Pシリーズ
レノボ・ジャパン 大和研究所 モバイルワークステーション開発 シニアマネージャー 渡邉大輔氏は、ThinkPad Pシリーズの“P”には「Performance/Professional/Productivityという思いが込められている」と、根幹のコンセプトを紹介した。
もともと、レノボのモバイルワークステーションとして展開してきたWシリーズは高性能だが大型で、可搬性に課題があった。これを背景に、2018年に登場したThinkPad P1 Gen 1は単に性能がいいだけでなく、“プロのユーザーが道具として使える製品を持ち運べる形に仕上げる”という狙いで開発されたという。
今回登場した2026年のThinkPad Pシリーズは「パフォーマンス(Performance)」「モビリティ(Mobility)」「ディペンダビリティ(Dependability、信頼性)」の3領域に注力する。
解析やシミュレーションに加え、AI・デジタルツインなど、活用領域が広がるなか、「どこでも使えるモバイルワークステーションであることが重要」であり、5G通信の搭載やISV認証の取得など、場所を問わず実際に使える製品を提供することが鍵だとした。
2026年モデルにおいて技術革新の1つに挙げられるのが、LPCAMM2メモリの採用拡大だ。LPCAMM2メモリはノートPC向けの新フォームファクタで、DDR5 SO-DIMMと比べ高速転送でき、かつ消費電力も抑えられる点が特徴。レノボでは2024年に発表された「ThinkPad P1 Gen 7」で初採用している。
今回、ThinkPad P1 Gen 9やP16s Gen 5、P14s Gen 7などでLPCAMM2メモリ搭載モデルを用意。ThinkPad P1 Gen 9ではLPCAMM2メモリの採用により基板上のスペースに余裕ができたため、5Gモジュールを搭載し、スピーカーを内側に移動させ5Gアンテナをパームレスト手前という効果的な場所へ配置した。同機ではファン羽根の間隔を不均一化してノイズを低減したり、ツイーターを追加しオーディオ品質を向上させたりするなどの改善も行われている。
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LPCAMM2メモリを搭載。ユーザー交換にも対応
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5Gアンテナをパームレストのエッジに沿って配置。スピーカーは内側へ移動したが、新たにツイーターを加え音質を維持した
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羽根の間隔を不均一化してノイズを抑えたファン
ThinkPad P16s Gen 5のAMDモデルでは先行例がない中で、苦心しながらLPCAMM2メモリの実装を実現。これによりコンパクトな筐体サイズを保ちながら、RTX PRO 2000 Blackwell世代Laptop GPUの搭載が可能となり、独自の冷却技術AeroCore 冷却テクノロジーも導入できた。
このほか、ThinkPad P14s Gen 7 AMDでは同機のコンセプトである軽さを突き詰めた。最軽量構成時1.3kg以下を目標に、ベゼル・天板の接合をフック式から接着式へ変更したほか、マザーボードの小型化と0.2mmの薄型化、真ん中にバーを設けるワンバーヒンジの採用とヒンジ構造の変更、冷却ファンの素材変更といった細部の工夫で軽量化を果たしている。









