Windows Latestはこのほど、「Microsoft’s Windows 11 quality reset now targets bad drivers behind crashes, overheating and poor battery life」において、Microsoftが8年ぶりに「WinHEC(Windows Hardware Engineering Conference) 2026」を開催したと伝えた。
2018年以来となる同カンファレンスは、Windowsの安定性、品質、信頼性向上をドライバーレベルで引き上げたい同社の方針をパートナー企業と共有する目的で開催された。企業間の連携および将来像について話し合う機会が設けられ、その中でMicrosoftから「ドライバー品質イニシアチブ(DQI: Driver Quality Initiative)」の導入が発表されたという。
なぜMicrosoftはドライバー対策を強化するのか
Microsoftは2026年3月、Windows 11の改善計画を発表し、「OS、ドライバー、アプリの信頼性向上」を約束した。本カンファレンスはこの取り組みの一環として開催されたとみられ、パートナー企業に対してドライバーの品質向上を求めている。
しかしながら、単に要求しただけでは実際に取り組んでもらえる保証はない。そこでMicrosoftはドライバー品質イニシアチブ(以下、DQI)を発表し、取り組みを主導していく考えを明らかにした。
DQIは何を変えるのか、4つの柱を整理
DQIはWindows Resiliency Initiative(WRI)の知見とインフラストラクチャーを基盤とし、次の4つの柱を中心に構成される。
カーネルドライバー依存縮小へ
Microsoftが特に重視しているとみられるのが、サードパーティー製カーネルモードドライバーへの依存縮小だ。
カーネルモードドライバーの堅牢化および、サードパーティー製カーネルモードドライバーをユーザーモードドライバーまたはMicrosoftが開発したクラスドライバーに移行させる。これにより、ドライバーのセキュリティ、信頼性、回復力が向上する。Microsoftが担当する具体的な作業内容は次のとおり。
- ユーザーモードドライバーの取り組みとして、DMA対応PCIeデバイスおよび近日公開予定のWi-Fiスタックのパフォーマンスを改善する
- クラスドライバーの取り組みとして、オーディオ用Soundwireデバイスクラス(SDCA: Soundwire Device Class for Audio)、I3Cクラスドライバーの導入、NCM USBイーサーネットドライバー、既存のファーストパーティー製クラスドライバーの継続的な機能強化を行う
カーネルモードドライバーはオペレーティングシステムの中核機能(主にリング0)として動作する仕組みだ。このレベルで不具合が発生すると、システム全体の不安定化またはブラックスクリーン(BSoD: Black Screen of Death)を誘発する可能性がある。
今後はこのレベルのドライバー開発をパートナー企業に許可せず、影響をドライバープロセス内に抑え込めるユーザーモードドライバーの開発や、Microsoftが開発したクラスドライバーの利用を強制したいとみられる。
パートナー製ドライバーの審査を厳格化
信頼できるパートナー企業および、信頼できるドライバー基準を引き上げる。具体的にはパートナー認証の強化、自動分析の拡大、Windowsハードウェア互換性プログラムの要件を厳格化する。
古い低品質ドライバーを整理
Windows Updateカタログの健全性を向上し、ドライバーのライフサイクル管理を改善する。具体的には古くなったドライバーおよび低品質ドライバーの廃止、ソフトウェア部品表(SBOM: Software Bill Of Materials)の整合性向上、ドライバーシンボルによる問題分析の迅速化を行う。
発熱や消費電力も品質評価対象に
ドライバーの品質評価基準を引き上げる。これまではクラッシュの発生頻度に重点を置いていたが、今後は安定性、機能性、性能、消費電力、発熱への影響も評価する。
この消費電力および発熱については、ハードウェア仕様を評価するものではないと推測される。手を抜いたソフトウェア処理によって引き起こされる無駄な電力消費を検出し、是正を促したい考えとみられる。
GPUやネットワーク機器など広範囲に影響
Microsoftは今後の展望として「今後数カ月間、当社はお客様にとって最も重要な基本要素、すなわち信頼性、セキュリティ、パフォーマンス、互換性、品質への投資を継続していきます」と述べ、新しい高品質なドライバーを今後数か月間かけて順次展開していく予定を明らかにした。
カンファレンスに参加したパートナー企業からも共通認識を得られたことが発表されており、CPU、GPU、ディスプレイ、カメラ、オーディオ、ネットワークなど、Windows 11の主要な周辺機器のドライバー品質が向上する見込みだ。
