NECは5月13日、新たに策定した2026年度から2030年度までの5カ年の中期経営計画「2030中期経営計画」を発表した。説明会には、NEC 取締役 代表執行役社長 兼 CEOの森田隆之氏が登壇し、2025中期経営計画を振り返るとともに、新たな中期経営計画の全容を説明した。
NEC、「AI社会実装」と「安全保障」を2030年の成長軸に
NECは、ITサービス分野における「AIの社会実装」と、社会インフラ分野における「新たな安全保障の技術実装」を軸とした、2026年度から2030年度までの新たな5カ年の中期経営計画「2030中期経営計画」を策定した。
「AIによる社会変革と新たな安全保障環境が重なり合う時代において、NECは変革を加速します。AIの社会実装と新たな安全保障の技術実装を併せ持つ強みを生かし、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現に向けて挑戦し続けます」(森田氏)
ITサービス分野では、「コンサルティング」「システム構築」「オペレーション・運用・保守」の3領域を一体化し、AIネイティブ時代に対応したEnd to Endの価値提供を進める。
さらに、NECのAX(AIトランスフォーメーション)の実践知や先端技術を活用し、AI活用による顧客企業の競争力向上を支援する。
特にビジネスモデルでは、「BluStellar Scenario」の全シナリオにAIを適用し、業務の自動化や機能拡張を推進する。
一方、社会インフラ分野では、防衛とデジタルインフラを組み合わせたフルラインサービスを整備し、ITサービスとの掛け合わせによる差別化を図る。
防衛ICT分野では、指揮統制や情報関連領域を中心に事業拡大を進める。ACD法((サイバー対処能力強化法および同整備法。政府によるサイバー防衛強化を目的とした関連法))による新市場に対しても、サイバー脅威の監視・分析を行う「CyIOC」や自社を最初の顧客として技術検証を行「クライアントゼロ」などを強みに展開していく方針を示した。
NECはなぜ「AI」と「安全保障」を重視するのか
森田氏は、NECを取り巻く環境について、「世界ではAIの革新と新たな安全保障環境の到来が世界の秩序を変容させ、脅威と機会が同時に拡大している状況にある」と説明した。
その上で、AIの本格普及によって産業構造そのものが変化しつつあるほか、地政学的緊張の高まりを背景に、防衛・サイバーセキュリティ市場の拡大が進んでいるとの認識を示した。
また、NECの現在地については、15年以上にわたる経営改革・構造改革を経て、2024年度には時価総額が過去最高を更新したことを紹介した。
「AIの本格化によって、これまでの延長線上ではない新しいフェーズに入っている。この大きな変化をどう捉え、勝ち抜くかが重要になる」(森田氏)
NECは過去5年で何を変えてきたのか
森田氏は、2025中期経営計画について、Purposeを軸とした経営改革により、売上収益が2兆9940億円から3兆5827億円へ、調整後営業利益が1782億円から3868億円へ大幅に向上したと説明した。
戦略面では、価値創造モデル「BluStellar」(顧客のDX変革を支援するサービス群)の展開や、自社開発の生成AI「cotomi」の市場投入などにより、DX事業を加速させた。
さらに、新たな安全保障領域を重点事業として再定義したほか、グローバル5G事業の転換や海外IT事業の強化も進めたという。
また、文化面ではジョブ型人材マネジメントの導入や女性・外国人役員比率の向上など、人材・カルチャー改革も推進した。
加えて、自社をゼロ番目の顧客として先端技術を活用する「クライアントゼロ」や、全社KPIダッシュボードを活用したデータドリブン経営などにも取り組んだという。
NEC、「AIネイティブ企業」への変革を推進
NECは文化面でも、AIネイティブ企業への変革を進める。
AIと人の協働を前提としたジョブ型人材マネジメントや組織運営へ進化させることで、社員一人一人が自己変革に挑み続け、迅速な価値創造を実現する企業文化を目指す。
説明会の最後には、2030年に向けてNECグループが目指す姿を示すビジョン「Empower Humanity ~世界に革新と安心を届ける~」も発表された。
森田氏は、「AIの社会実装によって人間の可能性を開き革新をもたらし、新たな安全保障の技術実装を通じて安心して暮らせる社会をつくる」と述べ、説明会を締めくくった。









