
消費者の受け皿になるPB
「また値段が上がるんじゃないかということで、多くのお客様が不安になっている。夏は何かと家計負担が大きくなる時期。生活者の暮らしを価格で応援したい」
こう語るのは、イオン副社長でイオントップバリュ社長の土谷美津子氏。
イオンがグループ約1万店舗で、プライベートブランド(PB=自主企画)商品『トップバリュ』の食品約3500品目の価格を据え置く。『価格凍結宣言』キャンペーンと銘打ち、サラダ油やマヨネーズ、カップ麺などの商品価格を8月末まで据え置くことを決めた。
【「力の行使」による国際秩序変更が意味するもの 】マーケットコンシェルジュ代表・上野泰也
止まらない物価上昇。中東情勢の混乱に伴う原油価格の上昇もあり、あらゆる原材料価格や物流コストが高騰している。
帝国データバンクの調査によると、今年1月から9月までに累計6290品目の飲食料品が値上げした。今後も中東情勢の悪化を原因として「早ければ今夏中、遅くとも秋ごろにかけて広範囲な値上げラッシュ再燃の可能性が高い」(同社)。
こうした状況下、イオンには「物価高で主食も含めてやりくりせざるを得ない」とか「家族人数が多く食費負担が大きい中、価格と量の安心感がある商品を選びたい。まとめ買いして備えたい」、「同じ用途ならより手頃な商品を選び、生活の負担を少しでも減らしたい」などの顧客の声が相次いでいるという。
こうした消費者の需要の受け皿になっているのが、小売り各社が自ら開発・販売するPB商品。PBは自社で企画・開発から生産、物流、販売にいたる全プロセスを管理するため、ムダの排除やコスト削減の余地が大きいからだ。
今回、同社は計画生産や流通における中間コスト削減といった従来の取り組みに加え、包材使用量や原料・製品の調達ルートの見直しなどを実行。物流費の上昇を最小限に抑えるなどの工夫を重ねてきた。
イオンは2030年度までの新たな中期経営計画で、利益率の高いPB開発を強化するとして、現在1.2兆円規模ある『トップバリュ』の売上高を2兆円まで引き上げる考え。
収益力の改善に向けては、NB(ナショナルブランド)はグループで共同調達の比率を高めてコスト競争力を強化。メーカー側の生産計画の安定化や物流の合理化など、サプライチェーン(供給網)全体で効率化を進めていく。
イオン社長の吉田昭夫氏は「生産から販売まで一気通貫の効率的なサプライチェーン構築による価格優位性とイオンにしかない独自価値がお客様の支持を得ている。30年度までに粗利創出・原価低減トータルで1300億円から1400億円を目指し、ここで創出した原資を〝価格〟へ投資する」と語る。