日本製鉄は、5月27日から29日にかけて東京ビッグサイトで開催された「JECA FAIR 2026〜第74回電設工業展〜」に出展し、高耐食めっき鋼板「ZEXEED(ゼクシード)」「ZAM(ザム)」「SuperDyma(スーパーダイマ)」を展示した。
人口減少によるメンテナンス人材不足や、カーボンニュートラルへの対応が求められる中、同社では従来の「後塗装・後めっき」を前提としたものづくりからの転換を提案。長寿命化や省工程化、ライフサイクルコスト低減につながる点などを紹介した。
高耐食鋼板で省工程化と長寿命化を実現
高耐食めっき鋼板は、鋼板表面に亜鉛やアルミニウム、マグネシウムなどを含むめっきを施し、耐食性を高めた鋼板だ。日本製鉄では、耐食性能に応じて「ZEXEED」「ZAM」「SuperDyma」をシリーズとして展開している。
「ZAM」と「SuperDyma」は、いずれもマグネシウムを約3%含有する高耐食めっき鋼板。溶融亜鉛めっき鋼板の5倍の耐食性をもつ。
一方、「ZEXEED」はマグネシウムを約6%含有しており、「ZAM」と「SuperDyma」の2倍、溶融亜鉛めっき鋼板の約10倍の耐食性能をもつ。重塩害環境下でも、無塗装で60年の耐久を実現するとしている。
これらの高耐食鋼板は、従来必要だった後塗装や後めっき工程を削減できることが特徴だ。設置時の省力化に加え、メンテナンス負荷やライフサイクルコストの低減につながる。また、塗装や溶接工程を減らすことで、製造時の直接的なCO2排出量をおよそ30%弱削減できるという。
ブースでは、従来の後塗装と「ZAM」の比較展示も行われた。宮古島で長期間設置したサンプルを並べ、長寿命化による違いをわかりやすく紹介していた。
高耐食鋼板には「溶接が苦手」という課題があり、これまではリベット止めによる接合方法などが提案されていた。一方で、止水性や防塵性の観点から溶接が求められるケースも多く、採用拡大の障壁になっていたという。
これに対し、同社では「ZEXEED」において、ステンレスワイヤーを用いた溶接方法と補修塗装を組み合わせた技術を開発。耐食性を維持しながら溶接を可能にする技術として紹介された。
万博や夢洲駅でも採用、“黒ZAM”の広がり
ブースでは、めっき層自体を黒色化した「黒ZAM」も展示された。
黒ZAMは、意匠性と高い耐食性を両立した高耐食鋼板で、近年増えている“表し天井"のニーズに対応する製品だ。従来必要だった黒塗装工程を削減できることに加え、金属特有の重厚感を表現できる点も特徴としている。
ケーブルラック・レースウエイなどの電路材を製造・販売している南電機株式会社では、日本製鉄からこの黒ZAMの提案を受けたことをきっかけに、黒色の意匠性と環境負荷低減を両立した電路材の商品開発を進めたという。
現在では、Osaka Metro中央線 夢洲駅の中央コンコースや弁天町駅のほか、大阪・関西万博の各種パビリオンでも採用されている。また、神戸アリーナや熊本城ホールなどにも導入されており、駅や大型施設などで実績を重ねている。
人手不足と脱炭素時代に求められるものづくり
ブースには、日本製鉄の廣瀨孝副社長も訪れ、展示の狙いについて説明した。
近年は、人口減少による人手不足に加え、カーボンニュートラルへの対応など、製造業を取り巻く環境も大きく変化している。廣瀨氏は、こうした社会の変化を踏まえ、高耐食鋼板による新たなものづくりのあり方を語った。
廣瀬氏は、「これまでは耐食性が求められる分野では、後めっきや後塗装が当たり前だった」と振り返った。
一方で、人手不足や環境負荷、リードタイムの長期化といった課題とも向き合うためには、「そうした工程を省略し、より効率的なものづくりが求められている」と話した。
また、「カーボンニュートラルや人口減少といった社会の変化を考えると、構造的に変わらなければならない時代になっている」と指摘。「意匠性を持ちながらそのまま使えることも価値のひとつ。工程削減だけでなく、お客さまの商品価値の向上にもつながる」と説明した。
さらに、高耐食化による長寿命化についても触れ、「メンテナンス頻度の低減や更新サイクルの長期化につながる。ライフサイクル全体で見れば、商品価値も社会への貢献度も大きくなる」と語った。
最後に廣瀬氏は、「お客さまの商品をレベルアップすると同時に、社会課題の解決にも貢献できるソリューションとして提案していきたい」と今後の展望を述べた。





