
販売台数で過去最高 上場以来、初の最終赤字
「大きな環境変化がある中でも、3.8兆円の(営業)利益を上げることができた」
「大きな変化に柔軟に対応できなかったのが反省だ」
2026年3月期の連結決算発表時、トヨタ自動車社長の近健太氏とホンダ社長の三部敏宏氏の発言は対照的だった。
トヨタは減益となったものの、世界販売台数は1047万台と過去最高を記録。ハイブリッド車(HV)を筆頭に、プラグインハイブリッド車や電気自動車(EV)、燃料電池車と幅広いラインナップの全方位戦略に加え、地域のニーズに合わせた商品展開で市場の変化に対応した。
一方のホンダは最終損益が4239億円の赤字と上場以来、初の最終赤字に転落。EVの急速な需要減退に伴い、次世代EVシリーズなどの開発・発売の中止を決め、それに伴う仕入れ先への補償や資産の減損で最大2.5兆円の損失を見込む。
三部氏が「脱エンジン」を宣言したのは21年。当時の米国はバイデン政権が気候変動対策を最優先に掲げており、欧州も35年にエンジン車の新車販売の禁止を決めるなど「EVで出遅れている日本勢」と指摘されていた。その点、三部氏の方針に「当時は妥当なものだった」と評価するアナリストもいる。
ただ、このときからトヨタは全方位戦略を掲げており、「現地のニーズに合った商品群を用意する」(幹部)としていた。EVなどの開発を続けながらも稼ぎ頭のHVも磨き、第2次トランプ政権の誕生に伴う環境政策の転換で北米におけるHV需要が拡大したことにも対応できた。
足元では内燃機関で凌ぎつつ、来るべきEVの普及期に備える――。今後の電動化の行方について、各社はこうしたスタンスをとる。トヨタの近氏は部品や工具の共通化など現場でのカイゼンを通じて損益分岐台数の引き下げに注力する考えだ。
しかし、中国勢は電動化に加えてAIなどの知能化でも先行する。足元の危機を乗り越えながらも、投資の原資も稼ぐことが生き残りのカギとなる。