野菜の葉を食べる害虫のハダニを捕食するカブリダニが、チョウやガの幼虫(芋虫)の足跡を避けて産卵することを、京都大学のグループが発見した。圧倒的に大きい草食性の虫が葉を食べるときに偶発的に一緒に食べられてしまうのを避ける行動とみられる。農業における生物的防除として足跡の化学成分を使えば、害虫のハダニと天敵のカブリダニを同じ場所に誘導することができ、害虫被害の低減につながる可能性があるという。
自然界における生物の食べる・食べられるの関係では、植物を食べる草食動物を肉食動物が食べるのが常識とされる。しかし、大きな草食動物が植物を食べるときには、そこに住む小さな肉食動物を偶発的に一緒に食べてしまうことがある。これに関連し、京都大学農学研究科大学院生の金藤栞さん(生態学)は2023年に、1ミリに満たない草食性のハダニが、体長が数センチある芋虫の足跡の化学成分を避けることを発見していた。今回、矢野修一・京都大学助教(生態学)とともに、ハダニを食べる肉食性のカブリダニでも足跡を避けるのか調べることにした。
矢野助教によると、カブリダニは体の大きさに対して足が速く、芋虫が動いて近づいても逃げることができるが、卵は逃げられない。実験ではコウズケカブリダニとケナガカブリダニの2種それぞれについて、芋虫が歩いたヤブガラシやインゲンの葉と歩いていない葉を置いてどちらに産卵するか調べると、芋虫が歩いた葉へは、カブリダニ2種ともほとんど産卵しなかった。
葉だけでなく茎についても、インゲンの茎を用いてコスズメを横切らせた茎とそうでない茎のどちらに産卵するか調べると、コスズメの足跡がある茎を避けた。
金藤さんと矢野助教によると、捕食者(肉食性の昆虫)が、栄養段階の低い動物(草食性の昆虫)から偶発的に捕食されてしまうのを避ける防御策をもつことを初めて示した研究という。2023年の研究でハダニは芋虫の足跡の化学成分を避けることが分かっている。カブリダニについても同様に化学成分を避けているのではないかと考えられるため、農業害虫のハダニとその天敵であるカブリダニが嫌う芋虫の足跡の化学成分を特定できれば、その成分を使って2つのダニを同じ場所に集めてカブリダニがハダニを食べやすくすることで、効率的に生物的防除ができる可能性があるという。
研究は、4月7日、米国の国際学術誌「エコスフィア」電子版に掲載された。
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