【 厚生労働省 】中東情勢で注射器などの医療材料調達に懸念

中東情勢悪化に伴い、ホルムズ海峡がイランにより事実上封鎖された影響で、注射器や手術用グローブといった医療材料の供給が不安定化しないかという懸念が高まっている。

 医療材料の確保は命に関わる問題のため、高市早苗首相は、厚生労働、経済産業両省に医療分野での情報収集を指示。上野賢一郎厚労相は「直ちに供給が滞るという報告は受けていない」と強調するが、両省は対策本部を設置して企業や医療現場の状況を注視している。

 多くの医療材料にはプラスチックの原料となる石油製品「ナフサ」が多く使われている。

 厚労省が業界団体を通じて安定供給への懸念などを医療製品の各メーカーに尋ねたところ、国内製造の小児用カテーテルや滅菌用の酸化エチレンガスは、原料確保が一時不確実な状況となったものの、供給のめどが立ったという。担当幹部は手術用グローブも「現状では十分足りている」と強調した。

 国内の医療製品メーカーは東南アジアに製造拠点を持っているケースが多い。しかし、日本と比べて東南アジア各国の石油備蓄量が少ないことから、厚労省幹部は「石油の供給不安が想定以上に長期化すると、医療機関への供給が滞ることも起こり得る」と懸念する。例えば、腎臓の機能が低下した患者の血液浄化で用いる「透析回路」と呼ばれるチューブや、手術中に使用する排液容器など、東南アジアで生産して日本に輸入している製品が長期的な供給に懸念が生じるという。

 対策本部は、各メーカーや医療機関から相談があれば、ナフサの代替調達ルートの確保や政府の備蓄品支給といった形で支援する方針だ。手術用グローブなどは新型コロナウイルス禍を契機に政府の備蓄量を増やしている。

 ただ、医療材料の安定供給が困難になるほど事態が長期化すれば、国民生活全体が深刻な影響を受けることになる。4月に入り、ペルシャ湾内にとどまる日本関係船舶の一部がホルムズ海峡を通過したという吉報も届いており、関係者は事態の好転を願っている。

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