【 財務省 】円安、金利上昇、エネルギー 高騰の難局をどうしのぐか?

4月7日、総額122兆円超となる2026年度予算成立後、片山さつき財務相が記者会見し「重要施策はしっかり増額し、財政の持続可能性に十分配慮している」と述べ、責任ある積極財政の運営に自信を示した。

 同日、高市早苗首相も予算成立を受けて会見したが、首相が年度内成立を断念した悔しさをにじませたのとは対照的に、片山氏は晴れ晴れとした表情。財務省幹部は「国民生活への影響を考えれば、片山大臣のほうが『大人』だったいうこと」と振り返った。

 ただ、片山氏の手腕が問われるのは今後だろう。日銀の利上げ方針で国債費が膨らむなど財政の厳しさは続く上、イラン情勢の不安定化による原油価格高騰の長期化懸念から、早くも補正予算案の編成を訴える声が出ている。

 高市政権は物価高対策としてガソリン価格抑制の補助金に1兆円超を確保したが、イラン情勢の今後の展開次第では原油価格が高止まりし、財源は数カ月で枯渇しかねない。需給がひっ迫する今夏を見据え、電気・ガス代の高騰対策など与党内で補正予算編成案が浮上しているが、歳出拡大は国内外で財政悪化懸念を高めるリスクを伴う。

 実際、「金利のある世界」への転換で、すでに10年物国債の利回りが2.4%超になるなど長期金利は上昇基調にある。

 片山氏は金利上昇に関し、3月のG7財務相・中央銀行総裁会合で「金融、為替などあらゆる市場でボラティリティが非常に高いという共通の見解が出た」「緊密な連携など必要な場合はアクションということでずっとやっている」と説明するなど対応に追われている。

 イラン情勢を受けた有事のドル買いの影響もあり、円安と金利上昇、エネルギー価格の高騰という難局をどうしのぐか。険しさを増す高市政権の経済財政運営は片山氏の手腕に寄るところが大きい。

 一方、26年度予算の年度内成立を目指した高市首相の「独善」(財務省幹部)が引き金になり、与党内で「ポスト高市」をめぐる動きが水面下で出始めている。今後は片山氏と高市首相との”距離”にも注目が集まりそうだ。

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