GPU活用で材料探索を効率化

Matlantis(旧Preferred Computational Chemistry、2025年7月に社名変更)は4月15日、同社が手掛ける汎用原子レベルシミュレータ「Matlantis」に「NVIDIA ALCHEMI Toolkit」の基盤技術の1つである「NVIDIA ALCHEMI Toolkit-Ops」を統合することを発表した。これにより、材料シミュレーションにおいて効率的な計算スループットを実現し、研究開発を後押しすることができるようになるという。

過去にはNVIDIA Warpとの連携による高速化も実現済み

NVIDIAの「ALCHEMI」はAI駆動型の化学・材料探索プラットフォームとして化学業界での活用が進められている。MatlantisではこれまでもNVIDIAとの技術協力のもと、NVIDIA Warpで最適化されたカーネルをシミュレーションパイプラインに統合し、近傍リスト構築やDFT-D3分散補正などの重要なコンポーネントへ適用することで計算オーバーヘッドを削減し、原子スケール計算の主要処理において最大10倍の高速化を実現したことなどを報告していたが、今回の取り組みも両社のそうした技術協力を基盤として進められたものだと説明している。

  • 「NVIDIA ALCHEMI Toolkit」

    「NVIDIA ALCHEMI Toolkit」はGPUアクセラレーションによるシミュレーション構築ブロックの集合体で、AIを用いた大規模なシミュレーションを可能とする (出所:NVIDIA)

LightPFPの統合版からリリースを計画

具体的な取り組み内容としては、2025年にMatlantisがリリースした汎用機械学習ポテンシャルであるPFPの計算結果を教師データとして活用し、特定の研究対象に特化したより軽量(Light)な機械学習ポテンシャルを構築する機能である「LightPFP」のNVIDIA ALCHEMI Toolkit-Ops統合版を近日中に提供開始する予定としている。より柔軟なリソース配分と高い安定性が確保できるようになるため、LightPFPは標準的なノートブック環境からシームレスに呼び出せるサーバーベースのアーキテクチャへ移行する形となるが、そうした分散構成でボトルネックとなる通信オーバーヘッドについて、推論時の近傍リスト構築処理をNVIDIA ALCHEMI Toolkit-Opsで置き換えることで解決できるようになるとする。

また、将来については、同社のフラッグシップモデルである汎用機械学習原子間ポテンシャル(uMLIP)のPFPとNVIDIA ALCHEMI Toolkitとの統合も計画しているとのことで、この取り組みによって小規模な研究から大規模な産業レベルの材料設計まで、GPUを活用する形での性能限界の拡張を目指すとしている。