
認知症研究や ケアノウハウの確立へ
「学生と高齢者が安心して暮らせる拠点、更には認知症という課題に向けてアウトプットできる拠点として開発していきたい」─。こう語るのは学研ホールディングス(HD)取締役常務執行役員の小早川仁氏。
同社は神戸大学と連携し、学生と高齢者の多世代共生施設を建設する。最大の特徴は学生と高齢者が1つの施設内に住みながら交流し、大学の研究室も入居するという点。同大学の名谷キャンパス(神戸市)内に地上5階建ての施設を建てる計画だ。
学研HDのサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や介護付き有料老人ホーム、認知症グループホームのほか、学生マンション最大手のジェイ・エス・ビーが運営する学生マンションや同大学の大学院保健学研究科の研究室も備える。開業は2027年9月を見込んでいる。
大学施設内に学生と高齢者が共住する施設の建設事例は全国的にも珍しい。同大学学長の藤澤正人氏は「大学として長年取り組んできた認知症や福祉研究の知見を検証できる産学連携の場として発展すると思う」と語る。同施設では高齢者の生活変化を24時間観察できるため、認知症研究やケアノウハウの確立にも大きく寄与すると見込む。
小早川氏は「高齢入居者について24時間365のライフログを取得し、そこで得た研究成果を新たなサービスやプロダクトの開発につなげていきたい」と他の企業にも門戸を開く考えを示す。
学研HDはサ高住で最大手だが、「地域によっては高齢者の数が減っており、損益分岐点が低くなりつつある」(首脳)。大学のキャンパス内という新たな立地が今後の同社のサ高住のビジネスを後押ししそうだ。