
高市政権が国民の高い支持を得る中、農政の「方針転換」が波紋を呼んでいる。前農林水産相の小泉進次郎氏は、米価の高騰を抑えるために政府備蓄米の放出を進め、価格介入も厭わない姿勢を打ち出した。一方、農水省の元官僚で現大臣の鈴木憲和氏は米価に関与しないことを明言し、戸惑いの声が広がっている。
同省によると、コメの平均価格は今年6月以降、随意契約による政府備蓄米の流通により低下した。しかし、8月以降は2025年産の新米が出回り始めたことに加え、随意契約による備蓄米の販売もピーク時より減少したことを受けて価格が上昇。その後は横ばい状態が続いている。現在、5キログラムあたりの平均価格は8週連続で4千円台。5千円台の銘柄米が店頭に並ぶことも珍しくない。
鈴木農水相は11月4日の記者会見で、「多様な価格帯のニーズには残念ながら応えきれていない」としつつも、「価格帯について申し上げることはない」「価格の大幅なブレが生じないようにするのが我々の責任」と訴えた。
鈴木憲和・農水相
小泉氏が輸出も視野に入れたコメの「増産」を掲げたのに対し、鈴木農水相は「需要に応じた生産」と、従来の方針を強調した。増産を進めるのか、減産も含めた生産調整に戻すのか。困惑する生産者に対し、鈴木農水相は10月24日の会見で「毎年、同じように増産ができるかは需給見通しの中で示したい」と述べるにとどめた。
来年6月末時点の民間在庫量は、過去10年で最大となる見通しだ。「去年生じた不足感は解消されて、市場には十分在庫がある」(鈴木農水相)一方、政府は余剰在庫の買い入れに慎重な姿勢を取る。「需給の安定を図ることによって、結果として価格の安定が図られる」。鈴木農水相は、わかりにくい農政を丁寧に説明する必要がある。
