【厚生労働省】高市氏が社会保障政策で公定価格の前倒し改定を表明

自民党の新裁選で高市早苗氏が選出された。野党の足並みが揃っていないため、月内に召集される臨時国会で首相に指名される公算が大きい。保守的な政治姿勢で知られ、総裁選では積極財政による物価高対策を掲げた。

 社会保障政策の初手としては物価高で深刻な赤字に陥った医療・介護施設を支援するため、公定価格の前倒し改定を表明している。ただ、それ以外の具体的な方針は現時点で見えていない。

 医療や介護サービスは全国一律の公定価格である診療報酬や介護報酬で賄われる。改定頻度は、診療報酬は原則2年、介護は3年ごととなっており、急激な物価高に対応できず、多くの医療・介護施設が赤字となり、従事者の賃上げも遅れているのが実情だ。

 このため、高市氏は補正予算を編成し、診療・介護報酬の前倒し改定で経営支援に乗り出す構えだ。高市氏は「税収の上振れ部分を財源に充てる」という。

 報酬を物価高に合わせて大幅に引き上げると医療・介護施設の経営は上向く可能性がある。厚労省内には「従事者の賃上げに重点化した報酬引き上げことも考えられる」(幹部)との声も出ている。ただ、報酬の引き上げは利用者の自己負担や保険料の増加に直結してしまう。

 高齢化に伴う現役世代の社会保険料負担は限界に近付いており、先の幹部は「非効率な医療・介護費の適正化もセットで行わないと国民の理解を得られないのでは」とみている。

 また、高市氏が総裁選であえて触れなかった痛みを伴う社会保障改革も避けては通れない。医療費は高齢化や技術の高度化で伸び続けており、数年以内に国民医療費は50兆円に到達する見通しだ。

 高額療養費制度の見直しや、高齢者の自己負担の在り方、市販類似薬の保険適用改革など検討すべき課題は既に明らかになっている。現役世代の負担軽減はとても税収の上振れ分だけで対応することはできず、政府関係者は「利用者負担の引き上げか給付内容の縮小を断行する必要がある」としている。

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