キオクシアが約5兆円の投資 岩手に半導体の新製造棟建設へ

今回の投資は政府からの支援が前提

 

「今回の発表は、キオクシアがAI(人工知能)社会の発展に貢献していく強い意志を示すもの。AI社会の成長に不可欠なフラッシュメモリーに対するニーズに的確に対応していく」 

 こう語るのは、半導体大手・キオクシアホールディングス社長の太田裕雄氏。 

 キオクシアは、協業関係にある米サンディスクと共同で、2032年までに総額約5兆円の投資を決めた。近年、AIが急速に普及・発展しており、データの長期記憶に用いる「NAND型フラッシュメモリー」の需要が増加。AI需要の高まりに対応する。 

 これまで両社は過去25年間で四日市(三重県)や北上(岩手県)などに約9兆円の設備投資を実施してきたが、今後6年間で新たに5兆円を投資。このうち、約1.8兆円を投じて、北上工場の敷地内に新たな製造棟を建設する方針だ。 

 高市早苗政権は、戦略17分野の柱に「AI・半導体」を位置付ける。今回のキオクシアの投資は政府からの支援が前提で、高市首相も「5兆円の更なる投資計画があることを、政府としても大いに歓迎いたします」と期待を寄せた。 

 約4年周期で好況と不況を繰り返す「シリコンサイクル」という言葉があるように、半導体市場はこれまで、何度も好況と不況の波を繰り返してきた。このため、キオクシアは旧東芝時代の教訓も踏まえ、これまでは投資に慎重な姿勢だった。 

 従来の投資計画は年間約4700億円。韓国・SKハイニックスは約8兆円、同・サムスン電子は約5.6兆円の投資計画を打ち出しており、投資額は1ケタ違うと言われていた。SKハイニックスは現在、日本の宮城県でも工場建設を検討しているとされる中での、今回のキオクシアの5兆円投資である。 

 6月に一時、時価総額60兆円を突破し、日本企業のトップに立ったキオクシアHD。8月31日時点では約26.4兆円で5位につける。市場の期待やAI需要はどこまで続くのか。太田氏の覚悟が今後も問われる。

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