
「まずは既存事業を固め、土台をしっかりさせないと新しいことができないと考え、構造改革を進めてきた。お客様の需要を吸い上げ、いかに他社にマネされるような商品を出していくか。”シャープらしさ”を取り戻していくことがわたしの使命だと思う」
2期連続の営業赤字から脱却した今、2027年度までの3年間を”再成長”フェーズに位置付けるシャープ。すでに大型液晶パネルの生産拠点だった堺工場(大阪)は生産を停止、土地や建物もソフトバンクやKDDIへ売却した。
今後、同社が注力するのは白物家電や複合機、パソコンなどのブランド事業。「家電×AI(人工知能)」による新たな顧客体験の創出を目指して、27年度にブランド事業の営業利益率を7.0%(24年度は5.4%)まで高める方針だ。
2016年に台湾・鴻海精密工業の傘下入りして以降、CEO(最高経営責任者)は2代連続で鴻海出身者が就いていたが、昨年から生え抜きのCEOが誕生。社長就任以来、沖津氏は会議を半減させるなど、経営のスピード感を重視している。
鴻海の傘下入りしてから9年、市場ではコスト削減などの効果は出ても、事業面でのシナジー効果が見えてこないとの見方は多い。今後はAIサーバーの受託生産大手である鴻海のノウハウを取り入れつつ、EV(電気自動車)の開発など、新事業領域の開拓ができるかが、真の復活へ向けた試金石となる。
「鴻海は世界一AIサーバーをつくっているということで、彼らの持っている資産や技術を今まで以上に活用していく。新規事業をやらないと先はない」
今年9月には、同社の企業スローガンを9年ぶりに『ひとの願いの、半歩先。』へ刷新。今後は約4万人の社員の力を結集し、顧客の想像を上回る驚きや喜びをもたらす新商品やサービスの開発を目指す考え。
「オンリーワン技術を使い、他社にない新しいモノを生み出してきたのが当社の歴史。今後も独創的な商品やサービスを生み出し続ける会社でありたい」
Profile
おきつ・まさひろ
1957年8月京都府生まれ。80年京都工芸繊維大学工芸学部電気工学科卒業後、シャープ入社。長く白物家電事業に携わり、2013年執行役員、16年常務、19年専務、22年副社長。24年6月より社長兼CEOをつとめる