
資材調達、事業領域の多様化を図る
当社の主力事業である賃貸住宅事業は建築費、金利、家賃という3要素に左右されますが、建築費の高騰は止まらず、金利はジリジリと上がり、家賃は地域によって格差があります。
主要都市では家賃を上げても入居が進んでいますが、一部の地方都市などでは少し家賃が上がると需要が鈍化していくという状況です。
当社は賃貸住宅の一括借り、上げ(サブリース)をメインで手掛けていますが、今までと同じやり方ではダメだということで、2025年2月から物件の供給エリアを、都市の中心部にシフトしました。これまで展開してきた市場が7割に減少しますが、その中で前年を超える成果を上げるべく努力しています。当初は苦心しましたが、25年8月には前期比で110%を超える受注を計上することができました。
家賃を高く設定出来る市場にシフトしているということですが、そのためには他社物件を含めた既存建物の建て替え需要を掴んでいく必要があります。
金利については我々が何かできるわけではありませんが、金融機関さんのバックアップをいただこうということで、金利上昇を前提に40年、50年という期間の住宅ローン商品を出していただいています。
資材調達にも知恵を絞っています。主要調達先のカナダの市場が「トランプ関税」で荒れており、生産量が落ち、価格が上がっています。こうしたリスクを見込んで北欧市場の開拓、住友林業さんの製材会社に出資をして国産材を活用するなど、調達先の多様化を進めています。
事業面の多様化という観点では、特に不動産開発に注力しています。物流施設の他、ホテル事業への参入も打ち出しました。さらに将来的にはデータセンターの開発も視野に入れています。
そのために25年3月に不動産開発を手掛けるアスコット社を完全子会社化しました。アスコット社は都心5区の開発に強みを持ちますが、我々のグループに入ることで管理を含めた一気通貫のサービス提供が可能になりましたし、規模を生かして資金の調達能力も高まりました。
不動産開発を手掛ける際に意識しているのは資金の回転です。従来の当社は「持たざる経営」で、B/S(貸借対照表)を使わない形で事業を展開してきましたが、不動産開発ではB/Sを使う必要があります。そこで、証券化を含めた「出口」のスキームをきちんと組んだ上で事業を進めています。
不動産投資は「時間がかかる」、「資金が眠る」というイメージを持たれがちですが、そこをいかに効率的に動かしていくかを常に考えています。
当社はROE(株主資本利益率)で20%以上を確保していますが、不動産開発を手掛けながら、ROE20%を維持している会社もあります。そのためには資金の回転の速さが肝要です。
「人的資本経営」を柱に
全産業界共通で人手不足は大きな課題です。そこで当社では、海外の人材を社員として受け入れて施工管理技術者として育成しています。また、AI(人工知能)を活用して、現場監督の仕事を効率化するための取り組みも進めています。
日本の人口は確かに減少していますが、日本の産業が同じように縮小していくかというと、そうはならないと考えていますし、そうさせてはならないと思っています。
当社は「人的資本経営」を柱に掲げており、社員のやる気を高めることに力を入れています。お客様の満足度は、社員の満足度が高くなければ上がっていきません。その結果として、社会に付加価値を提供していけるのだと考えています。
PROFILE
たけうち・けい 1965年11月富山県生まれ。89年朝日大学経営学部卒業後、大東建託入社。2012年執行役員、14年取締役、18年常務取締役、23年代表取締役社長執行役員、24年同CEO。