コメ価格、二期目の収穫開始も前年比2倍、酒米も高騰

備蓄米放出の効果薄

 農林水産省は、9月15日から21日に全国約1000店舗で販売されたコメ5キロあたりの平均価格が、前週より29円安い4246円だと発表した。備蓄米販売が増えたことにより米価を押し下げたが、いずれも5キロ4000円を超える金額が続き消費者の負担は続いている。

 米価高止まりの影響は主食用米だけではない。浦里酒造店(茨城県)の蔵元杜氏・浦里知可良氏によると、コメ農家は主食用米に切り替え、昨年から作付面積は6割減。酒造り用の酒米は手間がかかり主食用米より高騰。

「高くてもわれわれが買い取らなければ、地元の生産者さんは主食米の生産に流れ、酒米をつくる人がいなくなってしまう」(同)

主食用米だけでなく酒米価格も高騰

 コメ価格は生産者にも、消費者にも、流通・卸売にも適正な価格づくりが求められる。

 一方で世界的にインフレが続く中、産業界全体がこの原料高騰を自らの製品に転嫁させていくかが課題。

 実質賃金マイナスの中で、個人消費は日本全体の55%を占める。個人消費を防ぐには、やはり経済成長政策が必要。人口減・少子高齢化というマイナス環境下が続く中で、いかに経済成長を図れるかが最大課題となる。

 日本酒業界はまだ比率の少ない輸出を強化し、海外で稼ごうという動きを強めている。

 総裁選候補は農政についての発信はないが、食料安全保障も含め、国のあり方から農業政策をどう舵取りしていくかは非常に重要な点。主食のコメ価格は国民の生活に直結してくるため、新総裁には早々に課題解決が求められる。