山城裕司・リアレーション代表取締役の 「人生の転機」【父親の死】

当社はSNSマーケティングとプロダクションを事業として展開しています。

 デジタル時代にあって、マスメディアからデジタルメディアへの転換が進み、ある分野では芸能人、タレントと呼ばれる人たちだけでなく、「インフルエンサー」と呼ばれる人たちが力を持ってきています。

 その中で誰に、何をやってもらうか、どうやって届けるかという部分を企画から実施までを一気通貫して行うのが、我々の仕事です。

 プロダクションとしても従来なかった手法を取っています。インフルエンサーとして有名になるだけでなく、それをきっかけにマスとつないでいます。我々が運営するプロダクションであるインキュベーション所属の山之内すずは「TikTok」をきっかけにウェブ番組、CM、テレビ番組へと進出し、今では年間200以上のメディアに出演する、先駆けのような存在です。

 SNSで頑張っている子たちをマスメディアに出していくことで認知度を高め、さらにSNSの力を増していくというサイクルをつくろうとしています。

 今は時代のスピード感が速く、先が見通しづらい状況です。ただ、我々が手掛けるエンターテイメントはなくならないと思いますから、その時代、その時代に合ったエンタメに関わる存在であり続けたいと思います。

 そんな私の転機は父親が亡くなったことです。父は和歌山県で建設業を営み、鉄筋工事を担っていたのですが、2011年の東日本大震災の影響を受けました。

 当時橋梁の仕事があり、地元企業で工事を分担したのですが、震災の影響で工事が3カ月ほどストップしてしまいました。

 その影響で当初の2倍のスピードで工事を進めなければならなかったことや、パートナーだったコンクリート事業会社の方のご両親が災害で亡くなり、その発見者となったことなどのマイナス材料を父が精神的に背負い込んでしまいました。

 ようやく仕事が再開できるという時に父が現場に向かった際、使用するはずの建機が動かなくなっていたことが精神的な決定打になったようです。そのまま山に入り、自ら命を絶ちました。

 葬儀に来られた方々からは、父がどれだけ慕われ、頼られていたかを聞かせていただきました。家族もいて、仕事があり、周囲から慕われた父が、なぜそのような選択を取らなければいけなかったのか。

 父は当時「心の豊かさ」や「心のより所」がなかったのではないか、ということを感じました。人には明日を楽しみにできる何か、楽しむ心の余裕が必要です。当社は「エンターテイメントで、 人々の心を豊かにする。」を掲げています。今後も人々の心をポジティブにできるような仕事をしていこうと思います。

2013年に起業、登記をした際の法務局の前で

(中央が山城さん)