NECは、日本の衛星測位システムとして整備が進められている準天頂衛星システム「みちびき」の11機体制(第一期)について、測位ミッションペイロードの開発を宇宙航空研究開発機構(JAXA)から受注したと10月15日に発表。みちびきの安定性向上と利用可能領域の拡大に向け、11機体制の実現に引き続き寄与していく。

  • 写真はみちびき 6号機の模型(1/32スケール)

    写真はみちびき 6号機の模型(1/32スケール)

みちびきの測位ミッションペイロードとは、衛星測位サービスを実現するために搭載されるミッション機器のことで、測位信号を生成する機器や、距離計測を行う機器、測位信号を地球へ届ける通信機器などで構成したもの。

NECは、準天頂衛星初号機から一貫して同ペイロードの開発を担当しており、これまでにも“世界最高クラスの測位精度”を追求し、高い性能と信頼性を持たせたシステムを提供している。

今後の11機体制実現に向け、同社では新たな技術を盛り込むことをアピール。具体的には、複数の原子時計を合成することで従来の安定したシステムをさらに上回る周波数安定度を実現する機能や、ソフトウェアによる柔軟な機能構成変更を可能にするデジタル変調制御機能などを挙げている。

みちびきは2018年から4機体制で運用されており、2026年度から7機体制で運用開始予定。7機体制では、常に日本上空に4機のみちびき衛星がいることになり、みちびきのみで位置情報を得られる状態(みちびき衛星のみでの測位)になる。

  • みちびきの機数拡張イメージ

    みちびきの機数拡張イメージ

今後さらに、バックアップ強化と測位エリア拡大のため、11機体制へ拡充していく計画だ。同社では、3号機後継機と8号機の開発に着手し、寿命を迎える衛星の後継機や追加衛星を整備していく予定と説明している。

11機体制では、より多くの衛星からの信号を同時に受信できるようになり、特にビル街や山間部など、衛星からの信号が遮られやすい場所でも、測位の安定性や精度が向上。高い精度で安定した測位情報が常時利用可能になれば、自動運転の普及や安全性向上、ドローン活用分野の拡大といった、さまざまな既存サービスの高度化や新サービスの創出が期待される。

  • みちびきのフライトイメージ

    みちびきのフライトイメージ