世界各国で進められるフュージョンエネルギー実用化に向けた研究開発
浜松ホトニクス(浜ホト)は10月9日、米国ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)が主導するレーザフュージョンエネルギー(IFE:Inertial Fusion Energy、慣性核融合)の商業化を加速させるための枠組み「The STARFIRE Hub」に、新たに設立された「半導体レーザ技術ワーキンググループ」へアジアから唯一の機関として参画したことを発表した。
フュージョンエネルギー(核融合発電)は、次世代のエネルギー源として期待され、日本でも「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」に基づき、ITER計画をはじめ、学術面、産業面の両面で実現に向けた取り組みを推進しているほか、2024年には民間側の取り組みとして、「一般社団法人フュージョンエネルギー産業協議会(J-Fusion)」が設立されるなど、さまざまな動きが目立つようになってきた。
LLNLが主導する米国の慣性核融合エネルギー技術研究
米国や英国、EUなどは日本に先行する形で民間投資を含めた形で核融合の開発競争を進める動きを見せており、その中の1つである「The STARFIRE Hub(The Science & Technology Accelerated Research for Fusion Innovation & Reactor Engineering Hub)」は、米国エネルギー省より4年間で1600万ドルの助成金を受け、慣性核融合エネルギー科学技術加速研究のために2023年に設立されたハブで、LLNLが主導する形で、欧米の7つの大学、4つの米国国立研究所、1つの国際研究所、3つの民間企業、1つの慈善団体、3つの民間IFE企業によって構成されている。
同ハブが新たに設立した半導体レーザ技術ワーキンググループは、世界トップクラスの機関が協力してIFEの実現に必要な半導体レーザの技術要件の定義、ならびに実現可能性の評価を行うことで、半導体レーザの業界全体の発展に向けた技術革新を推進しようというもの。主に、「IFEにおける半導体レーザの信頼性に関する共通定義の策定」、「IFE用途における半導体レーザの信頼性試験の標準規格の策定」、「IFEレーザドライバの励起光源としての半導体レーザの仕様の収束」の3つを主な活動の目的としている。
なお、同ワーキンググループに参画する機関・企業は以下のとおり。浜松ホトニクスでは、こうした国際的な連携の推進を図っていくことで、策定された標準規格に基づく技術開発を進めることで、早期のIFE実現につながる貢献を果たしていきたいとしている。