
「今回の買収により、堅調な成長が期待される航空機リース市場で確固たる地位を築くものになると期待している。規模と競争力の掛け合わせで、グローバル市場での業界ナンバーワンを目指す」
こう語るのは、住友商事常務執行役員 輸送機・建機グループCEO(最高経営責任者)の日下貴雄氏。
住友商事(上野真吾社長)が海外投資ファンドなどと共同で、米航空機リース会社・エアリースの全株式を取得する。買収総額は約74億ドル(約1兆878億円)となる予定だ。今回のスキームには同社の他、三井住友ファイナンス&リース傘下の航空機リース事業会社SMBCアビエーションキャピタル、米国とカナダの投資ファンド2社が参画。住友商事は37.5%を出資、同社の投資額は3000億円規模となる。
民間航空機市場は、コロナ禍前から年率5~6%の安定成長を続けてきた。今後も新興国市場の拡大やLCC(格安航空会社)の台頭などにより、2043年までの20年間で世界平均旅客数は年率3.8%で増加することが見込まれている。住友商事は今回の買収によって、旺盛な航空機需要をさらに取り込みたい考え。
買収を経て、住友商事グループが保有する航空機は単純合計で1840機となる。国内では約200機の航空機を保有・管理しているオリックスの9倍近くになり、世界首位のアイルランド・エアキャップ(2074機)に次ぐ、世界2位グループへ浮上することになる。
住友商事は今期(2026年3月期)の純利益で、過去最高となる5700億円(前年同期比1.4%増)を見込んでいる。ただ、近年は〝商社4番手〟が定着しつつあり、3強(伊藤忠商事、三井物産、三菱商事)の一角に食い込むためにも、ナンバーワン事業の創出は不可欠。
今回の航空機リース事業の強化によって、住友商事が存在感を発揮することはできるか。
