
現代自動車は工場完成が延期
米トランプ政権による自動車への関税が15%に妥結したことを受け、トヨタ自動車が生産体制の再編に乗り出す。
生産体制の変更に関しては、既に日産自動車が九州の工場で生産している米国向けのSUV(多目的スポーツ車)「ローグ」の国内生産の一部を米国に移管する方向で検討しているが、トヨタの場合は日本国内での生産能力を落とすわけではない。
現在、米国内で2拠点に分かれて運営されている高級車「レクサス」の生産拠点を1カ所に統合。一部モデルの生産を日本に移管させると同時に、米国内ではハイブリッド車(HV)生産を拡大する戦略のようだ。
1989年に米国で誕生したレクサスは2024年1-12月の販売実績は約38万台。前年比6.7%増と好調が続く。高級車市場で首位のメルセデス・ベンツやBMWと抜きつ抜かれつの状況だ。「高級車は価格が高くても一定程度は売れる。日本から輸出しても採算がとれる」とトヨタ元幹部は語る。
さらに生産体制の再編については「第1次トランプ政権のときから緻密に検討していた」(同)という。トヨタの場合、国内を除いて1ラインで1車種の生産を原則とする。そのため、「サプライチェーン(物流網)の構築や人件費などを踏まえて数年かけて最適な生産体制を積み上げている」(同)のだ。
そして今回、レクサスの米国の生産拠点の集約化に伴い、空いた1カ所の拠点ではHVを生産する計画。「日本と比べても米国の人件費などのコストは3倍高い」(アナリスト)と言われる中でも人気のあるHVの現地生産で関税の影響を和らげる。
一方、韓国の現代自動車などが建設中の電池工場では不法移民の取り締まりが進み、475人が米移民当局により拘束された。同工場の完成は先送り。同グループの屋台骨でもある北米に経営資源を集中させていた矢先での誤算となっている。
その中でトヨタは特定の地域に依存しない生産・販売戦略を貫く。顧客層が異なる複数ブランドを持っていることの強みも発揮しての生産体制の再編と言えそうだ。