
「本学は仏教の連合大学から地域に根差した総合大学へ発展してきました」―─。創立100周年を迎えた大正大学。大正15年(1926年)に開学した、仏教系の私立大学だ。今年からは文理融合をはかるため情報科学部を開設。今後は通信教育課程の設置を検討するなど、新たな教育体系づくりに乗り出している。「混乱の時だからこそ、より良き人材を育成するという大学の使命に立ち戻ることが必要」と語る柏木氏に、今後の大学経営の要諦を直撃した。
時代の変遷と共に中規模総合大学へ発展してきた
─ 仏教系の私立大学として100周年を迎えた大正大学ですが、まずは大正大学の特徴と建学の理念から聞かせてもらえますか。
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柏木 大正大学は大正15年(1926年)に開学し、大乗仏教の精神である『智慧と慈悲の実践』を建学の理念としています。 『智慧と慈悲の実践』というのは、仏教における菩薩の生き方を表したものです。菩薩とは自らの修行の完成と衆生の救済を志す人を意味します。
わかりやすくいえば、自己の研鑽に励むとともに、他者の幸福を願って行動する者です。大学に在籍している間だけでなく、生涯を通じて菩薩のように生きてほしい。建学の理念には、そのような願いが込められています。
日本では大正7年(1918年)に旧大学令が制定されて、慶應義塾大学や早稲田大学などが大学として認可されました。宗教系の学校でも、キリスト教系の同志社大学や神道系の國學院大學が認可され、大正15年4月に本学が私立大学として認可されたのです。
─ 大正15年というと、ほとんど昭和元年ですね。
柏木 ええ。だから何年経ったか数えやすいですよ(笑)。
当時、大正期の仏教界をリードする高楠順次郎、姉崎正治、前田慧雲、村上専精、そして後に本学の初代学長となる澤柳政太郎といった5人の博士が、各宗管長に対して仏教連合大学の創設を提唱しました。
その後、関東大震災があったりして、仏教連合大学設立は延期されることになったんですが、すでに仏教連合大学設立を表明していた天台宗・真言宗豊山派・浄土宗の三宗派によって、大正大学が設立されたのです。
─ なるほど、そういう経緯があったわけですね。仏教系の大学となると、龍谷大学や立正大学などもありますが、今、日本にどれくらいの数があるんですか。
柏木 建学の理念を仏教におく全国の仏教系大学が集まる団体には、57校が加盟しています。大谷大学、駒澤大学、高野山大学など、短期大学も含めると結構な数がありますね。
大正大学は当初、文学部のみで始まりました。松尾芭蕉の言葉に「不易流行」というのがありますが、〝不易〟、つまり、不変のもので本質や真理を探究しようということで、文学部をつくったわけです。
その後、戦後の学制改革(1949年)を経て、新制大学として仏教学部と文学部の2学部体制で再スタート。〝流行〟は状況に応じて変わりゆくものですから、世の中に必要な学問は変化するんだと。
そういうことで時代の変遷と共に徐々に学部の数が増え、当初の仏教の連合大学から地域に根差した総合大学へ発展してきたのです。
─ 今、学部の数はいくつあるのですか。
柏木 仏教学部、文学部、人間学部、臨床心理学部、表現学部、地域創生学部、そして、今年から新設した情報科学部の7学部13学科です。ここで約5000人の学生が学んでいます。
─ では、改めて、人口減少、少子化の時代にあって、大正大学はこれからの時代をどのように生き抜く考えですか。
柏木 わたしは正直言って、これからの時代はかなり厳しいと思います。
先日、財務省が2040年までに250校は減らす必要があると言いましたよね。250校というのは、私立大学(2024年時点で624校)の約4割に相当する数です。結局、これは地方の私立大学を温存しながら、首都圏の大学をシュリンクさせるようなイメージではないかと思うんですよね。そうなったら、われわれは大変です。
ですから、こうした混乱の時だからこそ……。