
日本発の循環モデル「森林循環経済」の実現を!
資源・エネルギー制約、地球温暖化、そして少子高齢化――。
日本はこうした課題に直面している「課題先進国」です。そのために私は2010年に「プラチナ構想ネットワーク」を立ち上げ、課題を解決し、持続可能で豊かで、誰もが自己実現できる社会=「プラチナ社会」の実現を掲げ、活動を開始しています。中でも、森林、再生可能エネルギー、人材育成、健康、観光の五つを重点領域と定めて、その第一弾として動いているのが、本書で提案する「森林循環経済」です。
森林に最初に光を当てたのは、CO2(二酸化炭素)排出を抑え、炭素を長期に固定し、吸収を持続させる仕組みがいま必要だからです。化石資源の代替として木を使えば、製造段階の排出を抑えられる。建築や製品にすれば、炭素を数十年にわたり固定できる。そして伐った後に植え、育てることで、森の吸収力を更新していける。削減・固定・吸収を同時に回す、この循環こそが要点です。
一方で日本の森には、伐期を迎えた人工林の未活用、所有の分散、担い手不足といった現実があります。だからこそ「なぜ伐るのか」という理由と、「どう使うのか」という出口を結び直さねばなりません。需要側と結び、社会の仕組みを変えることが必要です。
本書では、そのための三本柱を提示しました。第一にバイオマス化学。木質由来の炭素を素材・化学品へと展開し、化石由来を置き換える。第二に木造都市。都市の木造化・木質化を進め、都市そのものを炭素の「長期貯蔵庫」にする。第三に森林・林業の革新。需要拡大に応える供給体制、再造林を組み込んだ経営の革新――三者が連動して初めて循環は回ります。
守るために、使う。使うからこそ、また植え、育てる。日本発の循環モデルを現実のものにするために、ぜひこの議論に加わってください。
森で減らし、都市で固定し、再び森で育てる――。
その一歩を、ともに。
