
黒船の襲来以上の衝撃が…
「世界のサイバー攻撃による被害額は年間約1700兆円。これがAI(人工知能)によるアタックになった場合、どうなるのか。AIによるサイバーアタックの襲来が起これば、黒船の襲来以上に怖いことが起こる。われわれはそれを防ぎたい」
こう語るのは、ソフトバンクグループ(SBG)会長兼社長の孫正義氏。
SBGが米オープンAIと連携し、企業のサイバーセキュリティー対策に乗り出す。同社の新たなサイバーセキュリティー対策ソリューション『Patching as a Service(PaaS=パッチング・アズ・ア・サービス)』を空港や電力会社、金融機関など、日本の重要インフラを支える企業に提供。オープンAIの技術とソフトバンクの運用ノウハウを組み合わせ、システムの脆弱性診断から修復方針の策定、実装提案を行う方針だ。
孫氏によると、今回、オープンAIのサイバーセキュリティー技術を活用して、自社のシステムを調べたところ、1万500件の脆弱性が見つかった。このため同社はオープンAIの技術が脆弱性の特定に有効であることを確認。この取り組みで得た知見を、今回のPaaSの展開に生かしていくという。
すでにオープンAIのライバル、米アンソロピックは『クロード・ミュトス』を開発。ミュトスは従来と桁違いのスピードと量でシステムのセキュリティー上の脆弱性を見つけ出す能力を持つ。犯罪集団に悪用されれば、金融システム全体を混乱させる恐れがあり、アンソロピックは米国政府の要請でミュトスの提供を停止している。
昨今、悪意ある攻撃者によるサイバー攻撃は、AIを活用して自動化・大規模化が進む。重要インフラを支えるシステムに対する脅威は、これまで以上に深刻化しているのが現状だ。
そうした中、「日本中には3000を超える重要なインフラがある。そのどれか一つでもサイバー被害を受けると、日本が成り立たなくなる。オープンAIの最先端技術を使って、日本を守りたい」と語る孫氏。
AIの脅威にどう対応するか。企業にはこれまでとはレベルの違う対策が求められる。