小売業にも『つくる力』が求められる時代、ヤマダ・エディオンの統合に見る生き残り策

家電・住まい・環境の取り組みを強化

 

「従来の業種の垣根を超えた厳しい競争の時代に突入している。家電業界のみならず、日本が直面する課題解決に対する考え、方向性が同じであることから経営統合に至った」 

 こう語るのは、ヤマダホールディングス会長兼CEO(最高経営責任者)の山田昇氏。 

止まらない物価高の中で、PB開発をテコに商品の〝値決め〟に悩むイオン

 家電量販店最大手のヤマダが同5位のエディオンと経営統合に関する協議・検討を進めていくことで合意した。統合が実現すれば、売上高約2兆5000億円、FC(フランチャイズチェーン)全体を含めると全国9954店舗の巨大家電量販店グループが誕生する。 

 ヤマダは1973年に創業者の山田氏が群馬県前橋市で電気店『ヤマダ電化サービス』を開業したことが始まり。町の電気屋からFCチェーンを展開し、全国に店舗網を拡大。2005年には国内家電量販店として初の売上高1兆円を達成、2011年3月期には2兆1532億円まで拡大した(26年3月期は1兆6918億円)。 

 一方、2002年に発足したのがエディオン。広島が地盤の第一産業(デオデオの前身)と愛知が地盤の栄電社(エイデンの前身)、兵庫が地盤のミドリ電化社(ミドリ電化の前身)が源流で、西日本を中心に成長。2011年3月期には売上高9010億円まで成長している(26年3月期は7937億円)。 

 2社だけでなく、家電量販店各社は2011年3月期に業績の一つのピークを迎えている。同年7月にテレビのアナログ放送が終了し、地上デジタル放送へ移行するため、テレビが売れに売れたからだ。しかし、地デジへの移行と家電エコポイント制度が終了すると、各社ともその反動減に苦しんだ。 

 この頃から顕著になったのが人口減少。日本は2008年(約1億2800万人)をピークに人口減少時代に突入。現在は約1億2200万人まで減少している。 

 また、2000年代後半からのスマートフォンの普及によって、人々のライフスタイルは大きく変化。人々の購買行動はスマホからアマゾンなどのEC(電子商取引)サイトで購入するスタイルが定着。リアル店舗で実物の商品を見たり、店員から商品説明を受けたりして、実際に商品を購入するのはネットで、最も値段の安いサイトから購入するという店舗の〝ショールーミング化〟が加速した。 

 このような環境変化を受け、近年は各社とも家電製品などの販売だけでは他社との差別化ができないと判断。ヤマダは家電事業をコアに住宅や環境などを合わせた『くらしまるごと』戦略を推進。エディオンもキッチンやバス、トイレ回りのリフォーム事業を強化している。 

「業界を見渡してみても、当社と同じ考えのもと事業を展開しているのはヤマダしかいない。今回の統合により、特にわたしどもの郊外での存在感が高まる。郊外においてこそ、家電・住まい・環境の取り組みを行うことで、お客様の暮らしの重要な拠点になる」(久保氏)

 

独自商品の開発で消費者の取り込みを

 

 今回の統合によって考えられるのは、規模を活かしたスケールメリットだ。共同仕入れによる調達コストの低減、全国配送網の強化やサプライチェーン(供給網)の効率化はその代表例だろう。そして、両社が保有する顧客データを活用したPB(プライベートブランド=自主企画)商品の開発力強化も今後のポイントとなる。 

 あるアナリストは「これだけの規模感が出てくるとPB強化がより進んでくる。PB開発もスケールが大事で、今後は家電量販店もSPA(製造小売業)へのビジネスモデルの転換が加速するだろう」と指摘する。 

 近年はニトリやアイリスオーヤマ、ドン・キホーテなどの異業種が……。

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