アストロスケールホールディングスは、同社の英国子会社(英Astroscale)が、英国国防省の執行機関・国防科学技術研究所から515万ポンドの契約を獲得したと6月16日に発表。同国の宇宙状況把握ミッションにおいて、情報収集のための小型衛星2機の運用を行う。
英Astroscaleが今回、国防科学技術研究所(DSTL:Defence Science and Technology Laboratory)から受注したのは、宇宙天気の理解を深めるとともに、宇宙状況把握(SSA:Space Situational Awareness)の能力を向上させることを目的とした「オルフェウス」(Orpheus)ミッション。共同宇宙アーキテクチャの構築をめざす国際的な取り組みの一環であり、英国の宇宙能力を強化する重要な一歩とも位置づけられている。2028年までの3年間で設計から打上げ、運用までのミッション全体を実施する。
英Astroscaleは今回の契約で、サブコントラクターであるOpen Cosmosと提携。Open Cosmosは、迅速な宇宙データ取得を可能とする高度なCubeSatソリューションを提供しており、同社が2機のほぼ同一の小型衛星を設計・製造。軌道上での実績と経験をもつ英Astroscaleが、編隊飛行を行って重要なデータを収集する同衛星を運用する。電離層を観測するためのペイロードの開発は、米国海軍研究所とバース大学、Surrey Satellite Technologyが担当している。
アストロスケールでは、「宇宙インフラへの依存が世界的に高まる中、宇宙天気、軌道混雑、軌道での敵対的行動といった脅威も増えている」と指摘。保険市場『ロイズ・オブ・ロンドン』によると、深刻な太陽嵐などの極端な宇宙天気事象は最大2.4兆ドルの世界経済損失を引き起こす可能性があり、「電離層の乱れは衛星通信、ナビゲーションシステム、重要な防衛インフラに深刻な影響を及ぼす」とされている。
同社はオルフェウスミッションについて、「英国やその同盟国の宇宙運用を保護するための重要な知見を提供する」ものだと説明している。