ソフトバンクとCubic3(キュービック)は、SDVのユビキタスネットワークの実現に向けた戦略的パートナーシップを締結したと6月4日に発表。両社は今後、主要な衛星通信事業者と連携し、数年以内にコネクテッドカー向け“ユビキタスネットワーク”ソリューションを商用化するとしている。

  • ソフトバンクとCubic3、SDV向け通信網実現に向け戦略的パートナーシップ提携

今回の戦略的パートナーシップは、地上と上空のネットワークを融合させることで、世界中のコネクテッドカーに向けたユビキタスネットワークの提供をめざすもの。両社が2024年に実施したグローバルな戦略的提携の一環として締結した。

乗用車をはじめ、農業や輸送関連の車両メーカーにおいては、地上のモバイル通信が届かないエリアでも、車両が常時インターネットに接続していることが重要視されている。信頼性が高く、シームレスな通信環境が確保されることで、車両の予防保全や安全機能、テレマティクス、ナビゲーションといった重要な機能を、いつでもどこでも確実に稼働させることが可能になる。

今回のパートナーシップでは、地上のモバイル通信ネットワークと、衛星通信をはじめとする非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)を融合させることで、SDV(Software Defined Vehicle、ソフトウェア定義型自動車)や高価値なモビリティ資産(バイクや大型商用車、フリート車両、農業機械、大型建設機械、ドローンなど)が、シームレスにいつでもどこでもつながるユビキタスネットワークの実現をめざす。

具体的には、ソフトバンクのNTNの技術力と、Cubic3のクラウド型プラットフォームを組み合わせた、SDVや高価値なモビリティ資産向けのユビキタスネットワーク戦略を共同で策定。通信要件はユースケースによって大きく異なるため、特性が異なる複数のネットワークを柔軟に組み合わせることが、車両メーカーに最適なソリューションを提供する上で欠かせない。両社は複数の衛星通信事業者と連携しながら幅広いパートナーシップを構築していく。

またCubic3はこの戦略に基づき、IntelsatやSkylo、Viasatといった複数の衛星通信事業者との取り組みを積極的に展開していく。

Intelsatとは、同社の衛星通信とCubic3のソフトウエアプラットフォーム「Cubic3 Cloud」の統合に成功したほか、Skyloとは地上のモバイル通信と衛星通信の両方に対応した、世界初の自動車向けSIMソリューションを発表済み。Viasatとは、Lバンドを利用した衛星通信ネットワークと「Cubic3 Cloud」を統合する試験を2025年中に行うことを発表しており、衛星通信による音声通話や、リアルタイムでの天候情報の通知、緊急警報といったアプリケーションの有効性を検証する。

なおソフトバンクとCubic3は同日、上記3社などと共同作成した電子書籍「Ubiquitous Connectivity: For a Smarter Automotive Future」(ユビキタスネットワーク:次世代モビリティ社会に向けて)を公開している。同書では、乗用車や農業、その他の産業に関連する車両メーカーにおけるユビキタスネットワークの価値と可能性を紹介しているとのこと。