シーメンスとアクセンチュアは、「アクセンチュア・シーメンス・ビジネスグループ」を設立。グローバル規模で製造やITに関する経験をもつ専門人材7,000人で構成し、シーメンスの産業用AIやIoTソフトウェア基盤「Siemens Xcelerator」、アクセンチュアのデータやAIの知見などを組み合わせて新たなソリューションを共同開発、顧客企業へ展開する。
ドイツで開催された「HANNOVER MESSE 2025」(ハノーバーメッセ2025、会期:現地時間3月31日〜4月4日)において発表されたもの。両社の長年の提携を拡大し、航空宇宙や防衛、自動車、消費材、電子機器、重機、産業機械、半導体、輸送などの業界に対し、ソフトウェア定義型製品(SDP:Software-Defined Products)や工場向けソリューションを提供。
エンジニアリングや研究開発モデルの再構築に特化した、新たなエンジニアリングサービスを提供する予定で、顧客のグローバルエンジニアリング機能センター設立を支援し、SDPの開発を推進する。
また、モデルベースシステムエンジニアリング(MBSE)の使用を最適化し、自動車メーカーを対象とした両社のソフトウェア定義型自動車(SDV:Software-Defined Vehicle)フレームワークの導入を促進する。
両社は、顧客が製造工程をリアルタイムで追跡・制御できるよう、新たな製造実行システム(MES)を実装し、その連携と移行を支援。AIを活用した製造現場の運用や自動化も進める。
さらに、アクセンチュアのマネージド型の攻撃検知・対応サービス(MxDRサービス)を活かし、OTデバイスや重要なエンジニアリング・製造システムに対するサイバー脅威も軽減・防止。これらのサービスには、アフターサービス、メンテナンス、修理、およびオーバーホールを含む。
同グループは、エージェントAIを活用した製造工程の再構築も推し進める。具体的には、アクセンチュアで製造・物流領域の変革を支援するサービス部門であるインダストリーXが持つ専門知識を活用したサービスを提供し、顧客によるAIエージェント作成支援や、既存のエージェント、「AI Refinery for Robotics & Simulation」といった基盤モデルのカスタマイズなど、多彩なAIコンポーネントに対してガバナンスの確保を支援する。
顧客がAIエージェントを活用することで、たとえば設計・デザインの変更時に、その実現可能性、生産コストや性能への影響を自動的に検証可能になり、製品開発の効率と生産性を向上させられるとする。PLM(製品ライフサイクル管理)や、産業機器の資産管理やサービス、リモート操作といった分野においてもAIエージェントを活用できるとのこと。
シーメンスとアクセンチュアのこれまでの実績としては、サプライチェーンソリューションを提供するKIONグループに対して、全社共通の製品ライフサイクル管理(PLM)プラットフォームとしてシーメンスのTeamcenterを導入し、コアエンジニアリングプロセスの統一および最適化を支援。これにより、シミュレーション機能、生成AI、MBSEを活用し、KIONのエンジニアリングプロセスを抜本的に強化できたとする。
また、スペインの国営造船・軍事企業であるNavantiaに対しては、シーメンスのTeamcenterとCapital Logic Designerを活用した新たな製品開発プラットフォームの開発および実装を支援。このプラットフォームを使ってNavantiaが製造する船舶をデジタルツイン化することで、製品設計の品質を向上し、設計および製造コストを20%削減した実績を持つとのこと。