三菱電機は、欧州現地法人を通じて「FLAGCHIP」プロジェクトに参画し、パワー半導体モジュールの状態監視技術を開発。内部の半導体チップの温度を推定し、劣化状況の推定に応用するもので、同技術の実証に向けた試験機の製作を開始すると、1月30日に発表した。

  • 「FLAGCHIP」プロジェクトの概要

同社は、欧州現地法人のMitsubishi Electric R&D Centre Europe(三菱電機欧州R&Dセンター)を通じて、EUの研究・イノベーションプログラム「Horizon Europe」の中で、革新的なパワー半導体モジュールおよびその状態監視技術の開発や、これらによる再生可能エネルギーを用いた発電システムのコスト効率化の検討を行うプロジェクト「FLAGCHIP」(Flagship advanced solutions for Condition and Health monitoring In Power electronics)に参画。

欧州9カ国から企業や学術機関など11のパートナーが参画しており、革新的なパワー半導体モジュールやその状態監視技術の開発、および再生可能エネルギーを用いた発電システム全体の初期投資とメンテナンスを考慮したコスト効率の計算と、コスト削減に向けた検討を行うプロジェクト。そのなかで、ノルウェーとフランスのパートナー企業2社が保有する、風力発電システムと太陽光発電システムを対象とした試験設備での実証試験を実施する。

三菱電機が担当する具体的な内容として、状態監視技術の実用化に向けた開発のうち、劣化状況の推定に必要な、パワー半導体モジュール内部の半導体チップ(SiC-MOSFET)の温度を正確に推定する技術の実証を担当。フランスの風力発電システム向けDC/DCコンバーターの試験設備で、三菱電機が新たに製作した試験機を用いて、2026年10月から実証試験を行う予定だという。

カーボンニュートラルの実現に向けて再生可能エネルギーの導入拡大が求められる中、電力変換を担うパワーエレクトロニクス機器の信頼性、保守性の向上が課題となっている。パワーエレクトロニクス機器の基幹部品であるパワー半導体モジュールは、技術革新による信頼性の向上や、劣化状況の把握のための稼働状態のデータ取得・解析技術に加えて、その結果に基づく適切なタイミングでのメンテナンスによる保守性の向上が期待されているとのこと。