顧客の工場に常駐し、電気、空調、給排水、排気処理といったインフラ設備の運用管理を担う施設管理事業などを展開してきたNECファシリティーズが、中国・四国地方の半導体製造業に向けた半導体施設運営技術者の人材派遣業サービスを開始した。

半導体の製造装置は、電気、ガス、給排水、排気といった用力を必要とし、工場にはこれらを供給する大元の施設が設置され、当該施設から工場内に配線や配管、ダクトなどが敷設されている。中でも半導体工場は、製造装置の新規導入あるいは入れ替えが頻繁に発生するため、これらの配線、配管類と半導体製造装置を接続し、製造装置が稼働可能な状態にする作業である「フックアップ工事」がたびたび発生することとなる。

また、工場によってはSCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)を活用し、中央監視施設などで製造装置およびこの付随設備の稼働状況などを一括して監視・運用を行うこともあるが、昨今の半導体工場の新設ラッシュで日本では半導体施設運営技術者が不足する事態となっており、製造装置の導入計画・変更時に必要な人材の確保が難しいことから、これらの業務支援に向けた要望が同社にも寄せられていたという。

  • フックアップ工事のフロー

    フックアップ工事のフロー (出所:NECファシリティーズ)

そこで同社は、そうした高まるニーズに応えるため、これまで培ってきた半導体製造装置のフックアップ工事および遠隔監視システムへのデータ連携業務に関する技術やノウハウを、エンジニア派遣という形で提供することにしたと説明している。

同サービスの特長としては、フックアップ工事を経験豊富な専門知識を持つスタッフに支援してもらえる点や、遠隔監視システムの運用を、装置情報の取り込みから一連で支援してもらえる点などを挙げている。

遠隔監視システムへの各装置情報の取り込みを完了するためには、各装置メーカーとの調整や顧客の関係部署との連携・調整作業に多くの時間が必要となるが、同サービスでは、特に影響が大きい通信ケーブルと稼働している装置との接続も含めて、生産現場に影響がないよう装置担当部門との調整まで行ってくれるとのこと。また、各装置からの情報を遠隔監視システムへの取り込む一連の業務についても、ゼロからのスキーム構築支援の実績を有しているため、顧客が主力業務に注力できるよう支援できるとしている。

  • 遠隔監視システム運用支援のフロー

    遠隔監視システム運用支援のフロー (出所:NECファシリティーズ)

なお、NECファシリティーズは同サービスを中国・四国地方から提供をスタートさせるが、将来的には全国へ展開する計画を立てており、半導体施設運営技術者の高齢化や後継者育成に悩む半導体製造関連の顧客を中心に、2024年度は5社を目標としてビジネスの拡大を目指していくとしている。