100年間変わらぬビジネスを続けてきた保険業界が今、変革の時を迎えている。その中でひときわダイナミックな動きを見せるのが損害保険ジャパンだ。同社は2021年にDX推進部を新設。外部からデジタル人材を登用するだけでなく、全社員をデジタル人材として育成し、全社一丸となってDXを推進している。

なぜ損保ジャパンはこれほどまでにDXを急ぐのか。

10月6日に開催された「ビジネス・フォーラム事務局×TECH+フォーラム DX Day 2022 Oct.攻めのDXでビジネスをどう変える」に損害保険ジャパン 執行役員CDO DX推進部長の村上明子氏が登壇。同社が推し進めるDX戦略と、描く未来について語った。

保険業界がDXを加速させる要因とは

村上氏が損害保険ジャパン(以下、損保ジャパン)に入社し、執行役員CDOに就任したのは2021年4月のことだ。そもそも村上氏は20年以上にわたり自然言語処理に携わってきたAIのプロフェッショナル。ITを活用した災害復興やリスク管理を実現するレジリエント工学にも関わるなど多方面で活躍してきた。このような人物が招聘されたのは、同社がそれだけDXに注力している証左でもある。現在、損保ジャパンは急ピッチでDXを進めており、社内の体制も大きく変革している。

なぜ、それほどまでに損保ジャパンは改革を急ぐのか。

背景にあるのは、外部環境の変化だ。村上氏は損保業界を取り巻くメガトレンドとして、「人口減・少子高齢化」「破壊的テクノロジー」「ニューノーマル」の3点を挙げる。

保険ビジネスに限ったことではないが、人口が減るとその分マーケットが縮小する。また、破壊的テクノロジーにより顧客の購買行動や消費行動は多様化しており、特にデジタルネイティブ世代を中心に“モノからコト”へのシフトが加速している。さらに、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに働き方が変化するなどニューノーマルが到来し、既存の産業構造にも変化が起きている。

この記事は
Members+会員の方のみ御覧いただけます

ログイン/無料会員登録

会員サービスの詳細はこちら