エクサウィザーズのグループ会社であるExaMDは4月23日、約30秒の自由会話音声から認知機能の健康状態を10段階のスコアで可視化する独自音声AI「CogniTalk(コグニトーク)」を、ヘルスケア市場向けに提供開始することを発表した。

CogniTalkは、同社が治験を進めるSaMD(Software as a Medical Device:プログラム医療機器)の技術基盤を活用している。

認知症のリスク層は1000万人規模にのぼる一方、その前段階であるMCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)は通常の社会行動を続けられ、回復も可能だという、人生を大きく左右する重要な分岐点でありながら、大半が見過ごされたまま進行しているのが現状だ。

こうした課題に対しCogniTalkは、認知症に進行する前の段階から認知機能の変化を高精度に捉え、認知症との向き合い方を「進行後の対処」から「事前の備え」へと転換し、一人一人が自らの人生を自らの意思で選び続けられる社会の実現に貢献するとのことだ。

今回開発した技術はAPI・エッジAI・アプリ・ソリューション開発など多様な形態で提供可能なため、金融、保険、モビリティ(運転免許など)、介護・見守りなどさまざまなシーンに対応できるという。

  • 「CogniTalk」を開発した

    「CogniTalk」を開発した

見逃されている認知症の前段階

認知症には、MCIと呼ばれる前段階がある。日本の認知症患者は約600万人、MCIを含めるとすでに1000万人規模とされるが、MCI段階の検出率はわずか6~15%と推定される。その理由として、健康診断に認知機能検査が含まれておらず、検査機会そのものが限られていることが挙げられる。

加えて、従来の検査手法ではMCIを高精度に捉えることが難しく、85%以上が見過ごされたまま認知症へ進行していると考えられる。この「MCIが見過ごされている」構造は、金融や保険、モビリティ、製薬など、さまざまな業界に影響を与え得る。

MCIは認知症に進行する前の段階であり、将来への備えや、対応策によっては認知症にならずに済む状態であることから、その後の人生を大きく左右する重要な分岐点だ。

認知症に進行した場合と異なり、MCIの段階であれば、資産管理や運転免許の判断、介護の方針など、本人の意思に基づく社会的な意思決定が可能だ。一方、認知症に進行した後では、こうした活動を自由かつ主体的に行うことは困難となる。

ExaMDは、認知症との向き合い方を「進行後の対処」から「事前の備え」へとシフトさせるため、認知症になる前段階でも認知機能の変化を捉えられる独自音声AI「CogniTalk」を開発した。

約30秒の自由な会話から認知機能の健康状態を10段階のスコアとして可視化し、日常のさまざまなシーンに組み込むことで、本人の主体的な備えを可能にし、社会全体で早期に気づける基盤を提供する。

CogniTalkの特徴

CogniTalkは従来の認知機能検査や既存のスクリーニング手法では捉えることが難しかったMCI段階での認知機能の変化を、独自の音声AIにより高精度に可視化する。認知症と診断される前の段階から変化の兆候に気づくことで、本人がまだ健やかなうちに主体的に備える機会を広げる。

CogniTalkでは自由な会話音声を入力するだけで、即座に結果が得られる。特許取得済みの複数の独自AIモデルが認知機能の健康状態を分析し、10段階のスコアとして示す。単なるリスクの有無にとどまらない細かい粒度でわずかな変化の兆候を捉え、経時的な推移の把握にも活用できる。

ExaMDは会話音声から認知機能を判定するSaMDについて現在治験を実施している。同製品は厚生労働省の革新的プログラム医療機器指定制度において優先審査対象品目に指定されており、CogniTalkはこのSaMD開発で蓄積した特許技術と認知症専門医の知見をもとに、ヘルスケア市場向けに開発した独自音声AIを搭載する。

CogniTalkは電話による高齢者見守り、金融機関の窓口やコールセンター、介護施設でのスクリーニング、AIによる高齢者との会話サービスなど、さまざまなシーンで利用可能。APIによる既存サービスへの組み込みのほか、エッジAI形態での端末上動作、ソリューション開発、アプリでの利用にも対応しており、用途に応じた導入に対応する。

さらに、3省2ガイドラインに対応した設計となっており、医療・ヘルスケア領域で求められるセキュリティ・プライバシー基準を満たす。エッジAI形態では音声データを外部に送信せず端末上で分析が完結するため、厳格な情報管理要件にも対応可能とのことだ。

  • 想定ユースケース

    想定ユースケース