中外製薬は10月18日、新研究拠点となる「中外ライフサイエンスパーク横浜」(以下、中外LSP横浜)の竣工を報告した。中外LSP横浜は同社の創薬研究を担う研究所であり、従来の富士御殿場研究所と鎌倉研究所を統合して創薬研究拠点が一カ所に集約された。

施設内には、創薬研究機能だけでなく、中分子化合物の製剤研究を担う施設も一部含まれるとのことだ。2023年4月に稼働を開始し、研究者やスタッフなど約1000名の従業員が勤務する予定だとしている。

  • 中外ライフサイエンスパーク横浜

    中外ライフサイエンスパーク横浜

中外LSP横浜のコンセプトは「Green Innovation Village~緑の中に点在する、最先端創造研究所」だ。施設の外観には緑を多く取り入れ、地域社会との調和を目的とするデザインとしたという。環境負荷の低減を目指して、照明や空調システムを活用した省エネルギー化と、自然エネルギーの利用による創エネルギー化を図り、環境との共存やサステナビリティ、安全性にも配慮している。

  • 緑道を整備したという

    緑道を整備したという

また、敷地の一部を横浜市への提供公園としたほか、西側の一帯を緑道とし、日中は誰でも利用可能な遊歩道として開放している。稼働後にはグラウンドの貸し出しも予定しているとのこと。児童・学生向け体験施設「バイオラボ」の設置など、地域社会への貢献を目指すプログラムなども検討する。

  • バイオラボ

    バイオラボ

施設内のデザインは、異分野の研究者の交流や知識の融合によるイノベーションの創出を狙った設計となっているようだ。実験棟と研究者の居室棟を連結するように作られた「スパイン」と呼ばれる300mの廊下は、日常的な移動の場となることから、ミーティングやコラボレーションのための共有空間を設置し、研究者同士の会話や活発な議論を促す。

  • スパインの様子

    スパインの様子

また、同施設はAI(Artificial Intelligence:人工知能)を活用した創薬やロボティクス技術を組み入れたオートメーション化に取り組む最先端の研究施設として、研究の生産性と質の向上にも取り組む予定だ。

  • スパイン内のコラボレーションスペース

    スパイン内のコラボレーションスペース