TrendForceによると、2021年のLEDパッケージ市場は、新型コロナの感染拡大が減退し、世界経済の回復を後押ししたことから、前年比15.4%増の176億5000万ドルとなったという。同社が語るLEDパッケージとは、リードフレームなどにワイヤで電極をつないで樹脂で包むようにして成形することで、LEDとして機能する最小の部品単位を指している。

企業別の売上高ランキングトップ10を見ると、トップは日亜化学工業。2位がams OSRAM、そして3位がSamsung LEDで、この3社で市場の29.5%を占めている。

  • 世界のLEDパッケージサプライヤ売上高ランキングトップ10

    世界のLEDパッケージサプライヤ売上高ランキングトップ10(可視光、不可視光、フォトカプラを含む) (出所:TrendForce)

首位の日亜化学はバックライトLED事業の売上高が、有機ELの普及により減少したものの、フラッシュLED、自動車用LED、一般照明市場の売上高が伸びたことにより、全体の売り上げが伸びたという。

2位のams OSRAMは、安定した製品品質、高い光効率や費用対効果などを背景に、世界中の高級自動車および新エネルギー車(NEV)の第1候補のサプライヤと見なされている。また、園芸用照明と赤外線センシング分野での伸びも成長に寄与したという。

3位のSamsung LEDは、自動車用照明、園芸用照明、一般照明、ミニLEDバックライトの売り上げが伸びたという。特に、欧米などのハイエンド市場では、品質と特許面でSamsung LEDのシェアが徐々に拡大傾向にあるとのことで、中でも照明LED事業の売上高が世界1位になったことは特筆に値するとTrendForceは指摘している。

上位3社以外のLEDメーカーの動きを見ると、4位のSeoul Semiconductorは、大型バックライト、自動車用LED、照明用LEDによる売り上げが伸びた。5位のLumiledsは、自動車用LEDおよび照明用LEDの分野で好業績を上げたほか、市場シェア獲得に向け、商業用照明、園芸用照明、建築用照明用のさまざまなLEDを発売した。6位のMLS、9位のNationstar、10位のHongliが、ディスプレイLEDおよび照明LED市場での売上高を増加させたほか、8位のEverlightと8位のLITEONは、フォトカプラ、赤外線センシング、および家庭用電化製品のLED製品の開発を続けているという。

なお、2022年上半期の状況はというと、欧米での需要回復にもかかわらず、ロシアのウクライナ侵攻などを背景とした原材料価格の押し上げ、インフレの悪化などが、消費者市場の需要を抑制しているとTrendForceは指摘している。また、中国でのパンデミックの影響により、一部の都市の電子機器や自動車の工場が操業を停止し、この混乱がLED市場の需要と供給にある程度の影響を与えているとする。

そのため、2022年第2四半期以降、中国政府がどのような経済刺激策を講ずるかが注目され、そうした取り組みを受け、世界のLED市場は、2022年は前年比で成長率が鈍るものの、成長は継続するとTrendForceは予想している。