ヒロテックは5月31日、大林道路、大蓉ホールディングス、海洋研究開発機構(JAMSTEC)、大阪工業大学と共同で、超潤滑・高強度でありながら難接着・難接合材料であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂とステンレス鋼板との直接接合について、レーザーを用いた新たな表面処理と接合技術の開発に成功したことを発表した。

今回の研究開発は、ヒロテックを中心とした共同研究チームが新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」における、「土砂等貨物の運搬効率を飛躍的に向上させるフッ素樹脂と金属板の直接接合技術によるダンプカー等荷台設置部材の開発」に取り組んだ成果。

土木・建築業界ではダンプカーなどの荷台に積載して運搬する土砂を積み下ろす際に、荷台表面に土砂が付着して残りやすいこと(付着残土)から実質的な積載量が減少してしまうことが課題となっている。

荷台への付着残土は積載貨物の平均5%とされ、この運搬効率悪化により、年間13万900kLの車両用燃料が過剰に消費されているという。結果、CO2排出量の増加のほか、高コスト化を招いてしまっているとされるほか、付着残土を清掃作業するためにダンプカーの稼働率が低下。しかも、清掃作業そのものが重労働であるため、従事者の高齢化に伴い大きな社会問題となっているという。

これらの問題を解決するため、これまでにもダンプカーの荷台表面への潤滑素材の貼り付けや塗布などが試行されたが、画期的な効果は得られず、革新的な技術による問題の解決が待たれていた。そして共同研究チームは今回、PTFEなどのフッ素樹脂とステンレス鋼板を、レーザーで高強度に直接接合できる金属表面処理技術を開発することに成功したという。

フッ素樹脂は超潤滑・高強度である一方、ほかの材料との接着・接合が極めて困難な材料として知られており、これまでにもさまざまな表面処理技術が試されたが、十分な接着・接合強度は得られなかったとする。