そこで研究チームは今回、従来の層状材料とは異なる、リチウムとニッケルが不規則配列した岩塩型構造の酸化物材料の開発に取り組むことにしたという。そして、炭酸リチウム(Li2CO3)、水酸化ニッケル(Ni(OH)2)、五酸化ニオブ(Nb2O5)を原料に用いて、固相反応によりニッケル系岩塩型酸化物「LiNi2/3Nb1/3O2」が合成され、優れた充放電効率とマンガン系材料よりも高い電圧で動作させることに成功したとする。

さらに、実験的・理論的に詳細な解析が行われた結果、リチウム過剰型マンガン系層状材料と同様に、酸素による酸化還元反応が進行することが確認されたとするほか、不規則岩塩構造では、直線的にNi-O-Ni結合を形成することで特異的に反応が活性化・安定化し、高効率化と高電圧化を実現可能であることが判明したとする。

なお、研究チームでは、今回の研究成果である基礎理論を応用し、今後、さらなる材料開発を進めることができれば、高エネルギー密度岩塩材料の開発および実用的な高エネルギー密度の次世代LIBの実現につながるとしている。

  • 今回の研究の概要

    今回の研究の概要 (出所:プレスリリースPDF)