電源管理IC専門のファブレスである米Power Integrationsが、AEC-Q100認証取得の1700V定格の高電圧スイッチング電源用IC「InnoSwitch 3-AQファミリ」を発売した。

同製品ファミリはSiCの一次側スイッチングMOSFETを搭載し、最大70Wの出力電力を供給可能。600Vと800Vのバッテリー、燃料電池を使用する電気乗用車、電気バス、電気トラック、および幅広い産業用電源アプリケーションを対象にしているという。

また、電源の実装に必要な部品点数を最大50%削減し、回路基板面積の削減とシステムの信頼性向上、部品調達の課題軽減などを図ることができるとしている。

同社の自動車産業開発部門ディレクターであるPeter Vaughan氏は、「800Vのバッテリーは電気自動車(EV)の標準になりつつある。複数の車両システムがこのパワフルな電源に接続されるが、電子制御回路がその動作と通信に必要とするのは数Vの電源である。InnoSwitchは、使用する基板面積を最小限に抑え、低エネルギーでメインバスから小電力を安全に電子回路に供給することができる。最大の利点は、メイントラクションインバータの非常用電源を簡素化できることである。こうした電源は、30Vと1000Vの間の任意の電圧で瞬時に作動することが求められているが、我々のSiCベースのデバイスを使用すると、こうした広い範囲に容易に対応できる」と述べている。

なお、同社の2020年における売上高の6割以上が中国市場からとなっている一方、日本市場はかつて10%を超えていたものが3%まで減少している。

  • 高電圧スイッチング電源用IC「InnoSwitch 3-AQファミリ」

    車載認証を取得した高電圧スイッチング電源用IC「InnoSwitch 3-AQファミリ」のパッケージイメージ