電通デジタルは12月2日、コロナ禍においてリテール業界で加速的に進むDX(デジタルトランスフォーメーション)の支援に向けて、生活者の実態について調査した「リテールDX調査(2021年版)」の結果を公表した。

新型コロナウイルス感染症の流行により、特にリアル店舗をはじめとするリテール業界のデジタル変革が急務である。そこで同社はリアル店舗に携わる事業者のDX支援を目的として、生活者のリアル店舗の利用実態に関する定量調査を実施したとのことだ。

今回の調査対象のリテール業態はコンビニエンスストア、ドラッグストア、スーパーマーケット、百貨店、外食、銀行の6業態だ。東京都、名古屋市、大阪市に住む15歳から69歳までの男女600人が調査に参加した。

調査の結果から、いずれの業態においても来店頻度が増えた人よりも減った人のほうが多いことが明らかになった。特に外食分野では55.5%が、百貨店では35.2%が来店頻度が減少したと回答している。その理由としては「人との接触を避けたいから」「1度にまとめ買いするようになったから」「インターネットサービスの方が便利だから」などを挙げた人が多いようだ。

  • どの業態でも来店頻度が増えた人よりも減った人のほうが多い結果となった 資料:電通デジタル

また、コロナ禍以降にリアル店舗の来店頻度が減ったと回答した人のうち40%程度がコロナ収束後には以前のように来店すると回答した半面、半数以上の人はコロナ収束後も来店頻度は元に戻らないと答えている。特に銀行ではコロナ収束後も来店頻度は「今のまま変わらない」とする回答が約8割を占める。

  • コロナ以降に来店頻度が減った人の半数以上がコロナ収束後も来店頻度は元に戻らないと回答した 資料:電通デジタル

コロナ禍以降にリアル店舗への来店頻度が減った人がリアル店舗に戻る理由は、「実物を見て購入したいから」「様々な商品を比較して購入したいから」が多いとのことだ。さらに、「非日常的な世界観の体験」「思いがけない商品との出会い」など、リアル店舗ならではの予想を超える驚きを伴う体験価値を生活者が求めていることも明らかになっている。

  • コロナ収束後に百貨店へ行く理由は、店の世界観や新商品に触れたい点に価値を感じているからのようだ 資料:電通デジタル

  • コロナ収束後に飲食店へ行く理由も、新しい刺激を得ることや店舗ならではのサービスを受けることにあるようだ 資料:電通デジタル

これらの調査結果から同社は、コロナ収束後に生活者がリアル店舗に求めることは実物に触れることによる「確信」と「驚き」であると結論付けている。